オール電化は、家庭内のすべてのエネルギーを電気に統一するものです。
- 火を使わないことで火災の心配がなく安全でクリーン。
- 電気料金の安い深夜電力を使うことが多いので、光熱費の負担が減る。
これらの理由でお得感があります。
とはいえ、電気料金の値上げが続いたので、導入を後悔していませんか?
それならば、この機会にオール電化のことをしっかりと理解しましょう。
費用相場やメリット・デメリットなどをお伝えいたします。
■目次
オール電化って知ってますか?
一般的な住宅では、キッチン・お風呂・暖房などに必要としている熱エネルギーを電気とガスを併用することでまかなっています。オール電化というのはその名の通り、エネルギーのすべてを「電気のみ」でまかなうシステムのことをさしています。
このオール電化は、メリットがいろいろとあるのですがデメリットも存在します。なにより、家庭内の設備をオール電化にすると、電気とガスを併用する設備に戻すことは難しくなります。
オール電化と電気・ガス併用のどちらがいいかは、それぞれの感覚や使い勝手に影響されています。ですので、個人の好みやライフスタイルで選ぶしかないのです。
オール電化にするということは、その後の生活に大きな影響を与えます。メリット・デメリットは当然ですが、ライフスタイルを見極めたうえで導入しないと後悔することになってしまいます。
オール電化住宅で使われている設備
オール電化住宅ではガス器具を使用することはありません。その代わりに次のような設備を使うことになります。
【キッチン】
before | after |
ガスコンロ | IH調理器(電磁調理器) ラジエントヒーター(電熱線を使った調理器具) |
【お風呂】
before | after |
ガス湯沸し器 | エコキュート 電気温水器 |
エコキュートは夜間の安い電気を使ってお湯をわかします。そのため、お湯をためておく「貯湯タンク」を敷地内に別途設置する必要があります。
【暖房】
before | after |
ストーブ(ガスや灯油を使用) | エアコン 床暖房 電気ストーブ |
オール電化での暖房は床暖房が一般的ですが、「蓄熱レンガ」を利用した蓄熱暖房機というものも存在します。
オール電化にする費用の内訳
今までの電気・ガス併用の光熱費をオール電化にしようと思ったら、リフォームが必要になってきます。
となると、費用がどれくらいかかるかということが気になってくると思います。
この時の一般的なリフォーム価格ですが60万円~100万円が相場だと考えておいてください。
ただし、この額はIH調理器、エコキュート、床暖房などのオール電化製品をまとめてリフォームした場合の額です。
当然、個別の費用も知りたいと思うので、単体の場合はいくらかかるのかも説明していきます。
IH調理器設置 | 10~40万円 |
エコキュート設置 | 30~60万円 |
IH調理器・エコキュート・床暖房設置 | 60~100万円 |
IH調理器設置リフォームはいくらなの?
IH調理器の設置費用は10~40万円といったところです。この費用の内訳ですが、IH調理器本体の価格・配線工事・IH設置工事費用になっています。
熱源がガスから電気へと変わる
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ガス管の撤去と電気の配線作業が必要
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現在の配線状態によって、工事費用が変動
エコキュート設置リフォームはいくらなの?
エコキュートの設置費用は30~60万円といったところです。エコキュートは、使う人数によって容量が変わるので、適正容量のものを選ぶようにしてください。工事費用は一般的な370L(3~5人用)・460L(5~7人用)や、大容量の550Lでも60万円までの間に収まることが多いので安心してください。
オール電化に補助金ってあるの?
オール電化を導入するのに補助金があればいいと思っている読者様は多いのではないでしょうか。結論からいうと、補助金の有無は自治体によって様々です。そこで、気になる補助金のこと、申請方法などを調べてみました。
エコキュートに補助金があるの?
2010年(平成22年)までエコキュートに対して国の補助金制度がありました。
ただ、もう終了しているので、エコキュートの補助金制度が無くなったと思っている読者様も少なくないと思います。
ところが、自治体によっては現在も補助金を受けることができます。
ただし、この制度の多くは先着順なので、年度の予算を使い切ってしまえば募集中でも終了してしまいます。
とはいえ、数は少なくても現在もエコキュートの助成金を出している自治体はあります。
読者様のお住いの地域が助成金を出しているか確認するのもいいですよね。
こちらで助成金の有無を確認することができます。
補助金の申請方法
住んでいる地域でエコキュートの補助金が申請できるということが分かった場合の注意点をお知らせします。
エコキュート設置の補助金ですが、設置前に申請を行うということが大切です。
これを忘れていると、対象のエコキュートを購入したとしても補助金を受けることができません。
- ヒートポンプ給湯器設置費補助金交付申請書
- ヒートポンプ給湯器の設置にかかる費用の見積書、または契約書の写し
- ヒートポンプ給湯器の形状及び規格などを説明する資料(カタログなど)
- 申請者本人の住民票(申請者の本人の住民票)、または運転免許証の写し
- 環境にやさしい生活宣言書
- ヒートポンプ給湯器を設置する住宅の位置図(住宅地図の写しでも可)
- 市町村税の滞納が無いことを証明する書類(納税証明書など)
- 委任状(代理人が書類を提出する場合)
提出した書類の確認・補助金の申請通貨
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ヒートポンプ給湯器設置費補助金交付決定通知書の送付
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工事内容の報告書や所定の書類の提出。
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工事完了報告の書類確認後に確定通知が申請者に送付
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送られてきた補助金請求の書類で補助金の申請
それと、大事なことが一つあるよ。
工事内容の報告書や所定の書類の提出は工事完了後30日以内、もしくは市区町村で指定された期限までにしないといけないんだ。それをしないと補助金がもらえないんだよ。
エコキュートの補助金対象設備条件や対象者・対象住宅
エコキュートであれば、なんでも補助金がもらえると思っていませんか?
自治体によっていろいろですが、条件に合うエコキュートにしないと補助金の対象外になってしまうのです。
- ヒートポンプの作用を利用したエコキュート
- 新品のエコキュート(中古やレンタルはダメ)
- 寒冷地仕様のエコキュート(寒冷地のみ)
また、エコキュートだけではなく対象者にも条件があります。その条件をご紹介します。
- 自治体の市区町村に居住しており、補助金申請を行っている間に居住する予定
- 市町村税を滞納していない
- 同一世帯にエコキュートの補助金を利用したことがない
- 暴力団員ではない
- 市区町村にある住宅、または建築予定の住宅であり自らが居住する住宅
このように様々な条件があります。エコキュートの補助金を申請しようと思うときは、お住いの市町村の補助金の条件をきちんと確かめてください。
オール電化のメリットとデメリット
オール電化住宅といえば電気代が安くなるというのがメリットのように言われています。
- それ以外のメリットはないのか。
- デメリットはないのか。
そんなことが気になったので、いろいろと調べてみました。
メリットは魅力的
【ガス代が不要】
オール電化にすると、エネルギーとして使用するのは電気だけです。ということは、ガス代がかかりません。また電気とガスを使用していれば基本料金が両方にかかりますが、オール電化では電気のみです。このように光熱費を一本化することができるので、管理が簡単になります。そのことで、節約対策が取りやすくなるわけです。他にも新築時にオール電化にすると、ガスの配管工事や安全装置の設置も必要ありません。このことから建設コストも削減することができるのです。
【安い夜間料金を利用できる】
使用する時間帯によって、電気料金は変わってきます。その仕組みを利用して、一番料金が安い時間帯である深夜にお湯を沸かしているのがオール電化の仕組みです。エコキュート・電気温水器・蓄熱ヒーターなどは、深夜のお得な電気料金でお湯を沸かしたり蓄熱をします。そのエネルギーを日中に利用しているというわけです。そのため、光熱費の削減につながります。ただし、これは深夜電力を使用できる場合に限るという条件がつくことを忘れないようにしてください。
【安全性の向上】
オール電化で調理の時に使用するのはIH調理器です。この調理器の特徴は炎が出ないことです。そのため、衣類への着火といった事故の可能性はなくなります。また、二酸化炭素の発生もありませんし、ガス漏れや不完全燃焼による一酸化炭素中毒のリスクが大きく減ります。炎がないため、高齢者や小さなお子さんのやけどの心配もほぼなくなります。とはいえ、調理器具の以上加熱などが原因となって発火する場合もあります。その点は注意してください。
【調理器具の掃除が楽】
IH調理器とガスコンロの違いをご存じでしょうか?ガスコンロではバーナー部や五徳と呼ばれる調理器具を乗せる金属の部分があります。この二つがあるだけで毎日の掃除が大変だと思っている読者様も多いのではないでしょうか。IH調理器具ではこの二つがなく、天板は平ら。そのため、調理後の掃除がとても楽です。また炎がないので、油が飛び散るのを防ぐペーパー類やレシピの本を近くに置いておいても火事になると心配する必要はありません。
【貯湯タンクが非常時に便利】
オール電化住宅では、貯湯タンクにお湯をためています。普段の日中はそれを使っているわけですが、災害時にもこれが役に立つのです。災害時といえば水道などのライフラインが途切れることが一番の心配です。ところが、貯湯タンクのお湯を手洗いや入浴、トイレの排水として使うことができるのです。ただし、衛生面での心配があるので、そのまま飲用するということはやめてください。飲用に使用したい場合は、再沸騰させるということを忘れないようにしてください。
【火災保険が割引になる可能性がある】
オール電化住宅にすることで、火災保険が割引になる場合もあります。ただし、この割引を受けるにはかなり厳しい条件があります。オール電化住宅であるということを証明する書類を用意する必要がありますし、ガスストーブなどを使用していると適用外になってしまいます。とはいえ、セコム損保の「セコム安心マイホーム保険」の場合は7~17%割引と大変お得です。オール電化割引を考えている場合は、それぞれの適用条件をしっかり確認するようにしてください。
オール電化での電気代、気になりますよね?
そんな方はこちらをどうぞ。
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デメリットも考えましょう
【昼間の電気代が高くなる】
オール電化住宅では、夜間の電気料金が安くなるプランで電力会社と契約するのが通常です。ところが、こうしたプランでは一般的な家庭が契約する“従量電灯”プランよりも昼間の電力量単価が高くなっています。節約のためにオール電化住宅にしたのに逆に電気代が高くなってしまった、という理由はここにあります。他にも家族の人数に合わせた貯湯タンクを設置していないとお湯を使い切ってしまって、昼間に大量のお湯を沸かさなければいけなくなります。このこともオール電化のメリットが失われる原因になっています。
【調理器具が限定される】
IH調理器は電磁波で加熱します。となると、土鍋などのように電気を通さない材質の調理器具を使うことができません。また、鍋底の形にも注意が必要です。特に中華鍋のように底が丸いものはガスコンロで使うようにはできません。最近ではIH調理器で使える土鍋製品もありますが、デザインなどが限定されてしまいます。調理器具などにもこだわりたい方には物足りない部分があるかもしれません。
【貯水タンクの設置】
オール電化住宅にとって、お湯をためておく貯湯タンクは必須アイテムです。ただし、この貯湯タンクは設置場所を必要とします。気になる容量ですが、3~4人の平均的な家族の場合、370Lタイプのタンクが必要だといわれています。そして、お湯が満タンになっている時の総重量は約430kgと大変重いものになっています。そのため、倒れることがないようにしっかりと固定しておく必要があります。
【停電時に不便】
オール電化住宅の一番の弱点といえば停電でしょう。この時はオール電化住宅の場合、すべての危機が機能しなくなります。もっとも、地震などで電気もガスも止まってしまった場合の復旧の速さは電気の方が早いので、一概に電気が不便とはいえません。最近の機器では停電時の対策が整っているものもあります。万が一ということもあるので、停電時にも使えるタイプの製品を選んでおけば安心です。
【ガスに戻したい時、面倒】
オール電化は便利だけど、ガスに戻したいと思ったときは注意が必要です。なぜなら、そういった場合は機器の取り換えだけではなくガスの配管工事なども行う必要があるからです。特に、最初からオール電化住宅として建てられていた住宅では、ガス管すら通っていないということがあります。そんな住宅でガスに戻そうとすると、ガスの新設工事をしないといけません。これが結構大規模な工事になるので、大変だということを覚えておいてください。
【エコキュートの低周波問題】
エコキュートはエアコンと同じように室外機が設置されます。この室外機ですが、深夜に長時間連続して稼働することで問題が発生する可能性があります。具体的にいうと、室外機が発生する低周波が原因の体調不良などです。この問題は国でもさまざまな調査を行っています。因果関係があるとは断定されていませんが、消費者安全調査委員会は、2014年12月19日に「健康被害の原因は、給湯器の運転音である可能性が高い」との調査結果を発表しています。エコキュートを設置するときは、このような問題があることも覚えておきましょう。
オール電化で停電したらどうする?
対策を知りたい方はこちらをどうぞ。
オール電化は量販家電店?
オール電化にしようと思ったら、エコキュートは必須アイテムです。
では、そのエコキュートをどこで購入するのか。
個人経営の電気屋さんや施工業者で購入するという方もいるでしょう。
実はヤマダ電機やエディオンのような量販家電店でもエコキュートは購入できます。
そして、量販家電店が足を運びやすいという読者様も多いと思います。
そこで、代表的な家電量販店といえる「ヤマダ電機」「ビックカメラ」「エディオン」でエコキュートを購入した場合の費用を比較してみました。
本体価格を比較してみた
各社ともいろいろなメーカーのエコキュートを扱っています。その中でも3社とも取り扱いのあったもので比較してみることにします。比較対象になるものは3~5人用の370Lのエコキュートです。
- ヤマダ電機:329,800円
- ビックカメラ:458,000円
- エディオン:398,000円
ヤマダ電機はこの価格に本来別売りとなっている脚部カバーが含まれています。つまり、329,800円の中には脚部カバー代10,000円も入っているのです。
ビックカメラは高いように感じるかもしれません。しかし、ビックポイントが10%還元されます。この場合45,800円分が還元されるので実質は412,200円だと思ってください。
エディオンは表示価格が標準工事費+10年保証込みになっています。つまり、398,000円の中には10年間の保証費用も含まれているというわけです。
本体ってどこになるの?
エコキュートの本体がどの部分を指しているのかご存じですか?
- ヒートポンプユニット
- 貯湯ユニット
- お風呂のリモコン
この3つが本体になります。
それ以外にも井戸水をくみ上げるためのポンプとか凍結を予防するためのヒーターなんかも本体価格には含まれないんだ。
標準工事費で何ができるの?
量販店のチラシには「標準工事費×××、×××円~」という記載があります。では、この標準工事費に何が含まれるかご存じですか?
- 給排水接続工事
- 電気工事
- 設置工事
- 基礎工事
これらをみればわかるように、標準工事費とは本体が標準的な機能を果たすための工事と思ってもらって間違いありません。ただし、以下の場合には追加料金が発生することがあることを忘れないようにしてください。
- 特殊な場所に設置する
- 配管の延長が必要
- 防音処置をする
では、標準工事費がどれくらいになるのか比較してみます。
ヤマダ電機は160,000円~、ビックカメラは159,800円~となっています。
なお、エディオンは本体価格に工事費が含まれているので、単独でいくらなのかは不明です。
保証期間ってどうなっているの?
エコキュートは長期的に使うことでメリットが大きくなります。となると、保証期間がどれくらいかというのが気になる部分です。メーカーの無償保証期間は平均1年間ですが、各量販家電店も独自の保証期間を設定しています。その期間は3社とも10年間です。
オール電化にする工事費用の相場まとめ
オール電化にするための費用や相場をいろいろと調べてみました。この時、リフォームにかかる費用もですが、一度オール電化にすると元に戻すことが難しいということもきちんと覚えておいてください。
オール電化は深夜の安い電力でお湯を沸かしています。そのため、昼間に電気を使うライフスタイルだと電気代が高くなってしまうということも発生します。また、オール電化にリフォームする費用は60万~100万円かかります。オール電化といえばエコキュートですが、導入するためには貯湯タンクの設置も必要です。そして、エコキュートは低周波問題があるということも覚えておいてください。
メリットは間違いなくありますが、デメリットも存在します。
流行だからオール電化にする、太陽光発電を導入する。そんな考えだと絶対に後悔することになります。そんなことにならないように、自分のライフスタイルというものをしっかりと考えてオール電化を導入するようにしてください。
今回も最後まで読んでくださってありがとうございました。
こういったマンションはガスの配管を引き込む前提での設計はされていません。
つまり、電気とガスの併用に戻すことはほぼ不可能です。