こんにちは、あつしです。
みなさんシロアリ対策は行っていますか?
母の家が前回の対策から5年が過ぎてしまったので駆除剤を撒く時期が来たのですが、二の足を踏んでいるようでした。
どうやら最近庭先に野良らしい子猫がよく顔を見せるのだそう。
家の周りも犬の散歩をしている方をよく見かけるようで、そんな方々に影響がないか心配しています。
人間を対象に安全と言われている薬剤でも、人間よりもずっと小さな生き物たちにとってはとても重大な影響を及ぼす可能性も十分にありますよね。
そこで今回は犬や猫、その他大切なペット達にもできるだけ安全なシロアリ駆除剤の成分についてみていきましょう。
シロアリ駆除剤は犬や猫、ペットへどんな影響を与えるの?
シロアリ駆除に使用される駆除剤はどんな種類があって犬や猫、大切なペット達にどんな影響を与えるのでしょうか。
現在流通しているシロアリ除去剤は、基本的に哺乳類には無害といわれています。
現在シロアリ駆除剤の中で多く出回っているのは「ネオニコチノイド系」という成分を使用した薬剤です。
この薬剤は空気中への揮発がほとんどなく、人・哺乳類・魚類への影響が極めて低いという特徴があります。
昆虫や爬虫類に対してはとても強い影響を与えてしまいますので、薬剤が直接掛からないように注意しなければなりません。
しかし、哺乳類でも殺虫成分を含んだ空気を過剰摂取するとアレルギー反応を起こすこともあります。
シロアリ駆除に使われる薬剤で影響のある物質は比重が大きい科学物質が多いため、天井や壁から床へ広がりそこで停滞してしまいます。
体が小さく人間よりも背の低い生き物たちはより汚染された空気の中で生活することになります。
柱や壁に薬剤を塗布した場合は特に注意深く様子を見てあげてください。
・ぐったりしている
・頻繁に嗚咽する
・皮膚疾患が現れた
・落ち着きがなくうろうろしている
作業後、ペットにこのような症状が現れたときはすぐに病院で診てもらいましょう。
シロアリ駆除は自分で行って大丈夫?
ペットがいる家で自分で駆除・予防作業は行っても大丈夫なのでしょうか。
哺乳類を飼っている家庭で床下のみの散布であれば、床下への入り口周りをしっかりと養生しペットを隔離すれば問題ありません。
その他のペットを飼っている場合は、ペットを安全な場所へ避難させたり、水槽にビニールを掛けてカバーしてあげましょう。
壁や柱はペットにアレルギー症状が出やすい場所です。
家の状態としてもかなり深刻なので、業者へ見てもらいましょう!
市販で殺虫剤も売られていますが、こちらはあまり使用しない方が良いでしょう。
羽蟻に使用した場合、羽が家に張り付いて後処理が面倒になります。
さらにシロアリはとても警戒心の強い生き物のため、殺虫成分に驚き分散して逃げてしまいます。
そうなった場合、最悪現在ある巣とは別の場所に巣を作り始める危険があるのです。
シロアリ駆除剤を自分で使用するときは
- ペットの種類に応じて毒性の低い薬剤を使用すること
- 作業場所をきっちり養生すること
- ペットを作業部屋以外の場所へ避難させること
- 好奇心旺盛なペットが床下へもぐりこまないよう見張ること
- 熱帯魚や昆虫、爬虫類、両生類の水槽には必ずビニールを掛けて薬剤を入れないこと
上記のことに注意してくださいね。
シロアリに効果的な駆除剤の成分と安全性は?
シロアリ駆除に使用される薬剤は安全面から過去に何度か見直しが行われています。
もともとシロアリ駆除に使われる薬剤は「クロルデン」という、撒けば一生シロアリが出ないといわれるほど、とても強力な薬剤を使用していました。
ですがそんなにも強力な薬剤が人体に悪影響がないわけがありません。
1986年に輸入・製造・使用が全面的に禁止となり「クロルピリホス」が代替として使用されるようになります。
しかしクロルピリホスも1997年にはシックハウス症候群の原因となっているのではと安全性を疑われました。
やがてクロルピリホスを使用する作業員たちも健康を侵されていったのです。
そのため1992年ごろから代替品として「合成ピレスロイド」が使用されるようになりました。
合成ピレスロイドとは防虫菊の殺虫成分を真似たピレスロイド系薬剤です。
現在では効果と安全性を評価され、それに合格したものだけが認定薬剤として登録・販売されるようになりました。
このようにシロアリ駆除剤は安全性重視の薬剤を使用する方向へ変わってます。
ですが、安全性を得る代わりに効力や維持年数は落ちてしまい、現在使用されている薬剤の効果は一回につき5年ほどしか持たないとされています。
あっくん、どれくらい種類があるか知ってる?
では現在使用されている薬剤を見てみましょう。
・ピレスロイド系
・フェニルピロール系
・フェニルピラゾール系
・カーバメート系
現在はこの5種の薬剤が主に使用されています。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
ネオニコチノイド系
煙草に含まれるニコチンに似た構造を持った成分の「ジノテフラン」や「イミダクロプリド」を使用している薬剤の総称です。
最近ではシロアリ駆除剤の主流となっている新しい系統の薬剤となります。
ニコチン性神経伝達物質の受容体へ作用することで麻痺症状を起こしアリを撃退することが出来ます。
またシロアリはネオニコチノイドを避ける能力を持っていません。
そのためシロアリたちは知らず知らずのうちに薬剤に触れ駆除されていきます。
薬剤の効き目が緩やかなこともあり、ドミノ効果も高く期待できますが水溶性で土壌へ流出する可能性がありますので注意してください。
ニコチンは殺虫剤などに使用されていましたが、人や哺乳類に対して強い毒性がありました。
そのことから人・哺乳類に対する毒性を低くできるように開発されたのがネオニコチノイドです。
人・哺乳類・魚類に対して毒性が低く、高い殺蟻性があることが特徴として挙げられます。
しかし、ニコチンに似た成分を使用していることから、長期的に見ていくと人や哺乳類に影響が出てくるともいわれています。
またミツバチに強い影響を与えてしまうため、環境への悪影響と近年指摘されています。
シロアリが避けないのもいい点だね。
ピレスロイド系
ピレスレイド系には天然ピレスレイドと合成ピレスレイドがあります。
ジョチュウギクというキク科の花に含まれる「ピレトリン」を用いた薬剤を天然ピレスレイド。
ジョチュウギクというキク科の花に含まれる「ピレトリン」の構造を真似て科学的に作られた成分を用いた薬剤を合成ピレスレイドと呼びます。
これらを総称し、ピレスレイド系と呼ばれているんです。
ピレスレイド系は即効性に優れており19世紀ごろから使用されており、哺乳類や鳥類に対する毒性が低いことが分かっています。
しかし魚類には毒性が高いため、熱帯魚や金魚など水生生物を飼っている方や水辺付近での使用は避けましょう。
この成分は昆虫類の神経細胞内にある受容体へ作用させることで神経線維・神経細胞を麻痺させてアリを撃退することが出来ます。
ですが、シロアリはピレスレイド系を避ける性質を持っています。
駆除剤の散布が甘い部分があればそこからシロアリが侵入してしまったり、蘇生してしまうので慎重に散布を行ってください。
また、目や気管に入ってしまうとピリピリとした痛みを感じますのでしっかりと安全対策をして作業を行ってくださいね。
魚のいる水槽は重くて動かすのも大変だから、魚を飼っているとあまり使いたくない成分だな。
フェニルピロール系
フェニルピロール系は菌類の殺菌剤としても使用されています。
神経伝達部に作用することでアリの呼吸を阻害することで撃退できます。
効果はとても強く、ドミノ効果も高く期待が持てるため多くのシロアリ駆除剤に含まれている成分です。
しかし、人・哺乳類・魚類いずれも毒性が高いことが特徴です。
フェニルピロール系が用いられた駆除剤を使用するときは使用方法に注意して作業してください。
この成分はプロにお任せした方が安心かも…
フェニルピラゾール系
少量でもとても強い殺虫能力を持った薬剤です。
シロアリはフェニルピラゾール系を避ける能力を持たず、薬品の効き目も緩やかなためドミノ効果も高く期待できます。
効果が高いため多くのシロアリの駆除剤に使用されています。
しかし、人・哺乳類・魚類いずれにも高い毒性があるため使用する際は十分注意してください。
この短所を補うためにマイクロカプセル化した商品も開発・販売されています。
商品選びに気を付ければ危険が軽減されるよ。
カーバメート系
神経の刺激伝達物質の分解酵素を阻害することで中毒症状を引き起こしシロアリを撃退することが出来ます。
殺虫剤以外にも除草剤として使われています。
光・熱・酸に対する安定性は高いですが、アルカリ成分による加水分解を受けやすいのが特徴です。
シロアリ駆除剤に使用されるときは有効成分が揮発しないようマイクロカプセル化した成分を使用する工夫がされています。
魚類への毒性は低く殺蟻性も高い反面、人・哺乳類にはやや高い毒性があります。
カーバメート系に含まれる「フェノブカルブ」という有効成分は室内の空気を汚染してしまったりシックハウス症候群の原因にもなり得ます。
そのため室内濃度指針値が厚生労働省より設定されているんです。
家に大きな水槽や池がある人にはいいのかな。
各成分の毒性まとめ
成分名 | 人 | 哺乳類 | 魚類 |
ネオニコチノイド系 | 〇 | 〇 | 〇 |
ピレスロイド系 | 〇 | 〇 | × |
フェニルピロール系 | × | × | × |
フェニルピラゾール系 | × | × | × |
カーバメート系 | △ | △ | 〇 |
〇がついているものほど影響は少ないですが、×だから絶対ダメと言わけではありません。
しっかり安全対策をして作業に取り掛かればとても力強い味方になってくれる薬剤です。
しかし薬剤が直接体にかかったりするような、安全対策を怠った作業をしては多大な影響を出してしまいます。
ご自宅の環境をしっかり整理し、用法容量を守ったシロアリ駆除対策を行ってくださいね。
シロアリ除去剤のにおいが気になる方はこちらの記事を参考にしてみてください。
市販剤をお探しの方はこちらの記事も参考にしてみてください。
シロアリ駆除はどんな方法がある?
シロアリ駆除は主に「ベイト工法」と「バリア工法」という、2つの方法があります。
それぞれの作業工程を簡単にみていきましょう。
ベイト工法
ベイト工法とは「ベイト剤」というシロアリを駆除するための特殊な餌を家の周囲に埋める方法のことを言います。
ベイト剤とはシロアリの脱皮を抑制する効果があり、このベイト剤を巣へ持ち帰ってもらうことで巣を壊滅させることが出来ます。
脱皮を抑制する成分のため、哺乳類には影響が出ない上、埋めるだけという手軽さもあり安心して使用することが出来ます。
ですが巣に持ち帰ってもらう必要があるため、即効性は期待できません。
ベイト工法で作業を行うには、まずベイト剤を用意します。
もしベイト剤とステーション(設置容器)が別になっている場合は予めセットしておきます。
準備が出来たら家の基礎から20~30㎝程度離れた所に穴を掘ってステーションを埋めましょう。
機に設置したい場合はテープで固定して取り付けてくださいね。
設置後1,2か月ほどたったら中を覗いてみてください。
もし中に生きているシロアリが居れば、それは駆除中というサインになります。
そっと元の場所へ戻し、シロアリが姿を現さなくなるまで待ちましょう。
シロアリの姿が確認できなければ、場所を変えて試してみてください。
シロアリは複数個所に巣を持っている場合もあります。
ステーションからシロアリの姿がなくなった後もそのまま埋めて様子を見てください。
バリア工法
バリア工法には「土壌処理」「木部処理」「上回り処理」の3種類があります。
それぞれどのような処理を行うのでしょうか。
土壌処理
シロアリは土の中に巣を作り活動しているため床下の土壌から侵入されます。
住処、また家屋に使われる木材までの通路となる土壌に直接薬剤を散布するのが土壌処理です。
床下と、住宅と地面の境界線にまんべんなく散布することでより高い効果が期待できます。
木部処理剤
シロアリ被害で一番ダメージを受けるのはシロアリの主食である木材(セルロース)です。
木部処理は柱や土台などに使われる木材をシロアリから守るための処理です。
シロアリは土壌から侵入し木材を食い荒らすため、木材の表面と内部のどちらにも処理を施さなければなりません。
表面に薬剤を吹き付けて処理する「吹付処理」、木材にドリルで穴をあけそこに薬剤を注入して内部を処理する「穿孔処理」この二つの処理がセットになります。
上回り処理
上回り処理とは勝手口や玄関、浴室など床下の処理が難しい場所に行う処理方法です。
床に穴をあけ、そこから専用機器で薬剤を加圧注入し土壌に十分な薬剤を行きわたらせます。
薬剤散布後の穴はセメントなどで埋められますので、穴が残る心配はありません。
これらの処理は自分で行うか業者に依頼するか選択することが出来ます。
自分でDIYを行う場合の流れと、業者に依頼した時の流れを比べてみましょう。
2.被害の度合いに応じた薬剤や道具を整える
3.駆除作業・予防作業の実施
4.再発防止対策の実施
5.後片付け
2.当日に再調査・点検
3.見積もりの確認
4.必要個所を養生し作業実施
5.後片付け
6.作業報告
自分で作業を行った場合、空いた日に即日始められる反面、正確さや迅速さに欠けてしまいます。
費用をかなり抑えられますが、日数がかかる上に業者ほどきちんとした作業を行うのは難しそうですね。
少しでも見落としがあると容赦なくシロアリが進行して大事な家の寿命を大幅に短くしてしまいます。
基本的に調査の費用は無料に設定してある業者がほとんどです。
調査を依頼したら必ず契約駆除や予防の作業を契約しないといけない、という事はありませんので信頼のおける業者を見つけて調査してもらいましょう。
中には被害の状況を偽って報告してくる悪徳業者もありますので業者選びは慎重に行ってください。
シロアリはとても駆除の難しい生き物となります。
シロアリ業者に駆除・予防を依頼すれば、ペットに配慮した薬剤を使用し、アフターケアまできちんと行ってくれる業者がほとんどです。
「完全な駆除が出来ない・再発のリスクが高い」
という個人での処置よりも確実で保証サービスも充実しているシロアリ駆除業者に依頼することをお勧めします。
シロアリ駆除・予防をするにあたって、公益社団法人しろあり対策協会が定める「しろあり防除施工士」という資格が存在します。
この資格は業者の中で必須項目ではありませんが、この資格を持っているということは
・実務経験が豊富
・シロアリ、木材、建築、薬剤、防除施工などの専門知識を持っている
・基準に沿った施工を実施
・安全な作業を行ってくれる
・最新の知識を持っている
などの判断基準になります。
シロアリ駆除業者を選ぶ際は、このしろあり防除施工士という資格保有者を持っている業者を複数社比較し選びましょう。
ベイト工法を行うにしても、しっかり勉強して作業する必要がありそうだね。
シロアリ被害で壁や窓の修復など、リフォームの検討をしている場合はこちらの記事を参考にしてみてください。
駆除業際に依頼する時の注意点は?
駆除業者に依頼をする場合、どのようなこと気にを付けたらよいでしょうか。
今まで書いてきた通り、薬剤から受ける影響は哺乳類・昆虫・魚類など生き物の種類によって大きく変わってきます。
まずは事前の打ち合わせで、どのようなペットを一緒に暮らしているかをきっちりと伝えましょう。
知識をしっかり持った業者であればペットに応じた薬剤を選んでくれます。
施工前に「どのような薬剤を使用するのか」「どのような処理方法をとるのか」「どこに避難させたら安全か」を聞いておくことも大切です。
哺乳類以外の生き物は特に影響を受けやすいと言えます。
水槽飼いのペットなどは特に移動が難しいでしょう。
直接薬剤に触れないようにするためにもビニールなどを使ってきっちり防護してあげてください。
また作業当日は好奇心旺盛な犬や猫が、飼い主のすきを見計らって作業場に近づいてしまうかもしれません。
そのようなことがないように、目を離さず大切なペットを守ってあげてくださいね。
応急処置をしたい場合は掃除機で見える範囲のシロアリを吸ってください。
シロアリはとても弱い生き物のため、掃除機で吸った衝撃で死んでしまうものがほとんどです。
もし生き残ったとしても、掃除機の中に数日放置しておけば死んでしまいます。
シロアリ駆除剤が犬や猫、大切なペット達に与える影響まとめ
シロアリ駆除の作業を正しく行った場合、犬や猫などペットへ大きな健康被害が出ることはあまりないと考えて大丈夫でしょう。
もしもご自分で駆除される場合は用法・容量をきちんと守り大切な家族に悪影響が出ないよう慎重に作業してくださいね。
犬や猫に限らず、昆虫、魚類、鳥類などどんな生き物でも作業中は別室へ避難させると安心です。
しかし、シロアリの駆除・予防作業はとても難易度が高いです。
ペットへの影響が心配な方は、専門の知識を持った「しろあり防除施工士」がいる業者へ依頼することをお勧めします。
その際は、どんな種類の生き物と生活しているか事前に業者の方にきちんと説明しておくことが大切です。
最後まで読んで頂きありがとうございました。