こんにちは、あつしです。
読者様は「ベタ基礎」という言葉をご存じですか?
家の一番下のコンクリート部分にあたる「基礎」の名前です。
このベタ基礎、他の基礎に比べたら「シロアリ予防に有効」とされています。
しかし、シロアリから家を完全に防御しているわけではありません!!
一般的にシロアリ予防に有効とされているからこそ、「落とし穴」が存在します。
今回はベタ基礎がなぜ「シロアリ予防に有効」とされているか、そして、それゆえの落とし穴を紹介します。
これから戸建てを新築する方、ベタ基礎で家を建てた方、必見です。
【シロアリ予防】ベタ基礎とは?
「家の土台」っていわれることがあるけど、「土台」は基礎の上に敷かれている「木材」のことだよ。
現在の戸建てでは、「布基礎」と「ベタ基礎」が採用されています。
大手住宅メーカーでは、標準仕様が布基礎の会社もあれば、ベタ基礎の会社もあります。
それぞれに長所・短所があり、どちらかが優れているという訳ではありません。
2つの基礎の特徴を紹介します。
布基礎
日本では昭和初期から、この「布基礎」が採用されてきました。
家の主要構造部に沿うようにして、逆T字型のコンクリートで作る基礎です。
引用:クレバinfo
地表が凍る北海道では布基礎が採用されます。
地面に含まれる水分が凍ると膨張するので、基礎に圧力がかかるからです。
後で述べる「ベタ基礎」に比べて地中深くまで埋め込むので、基礎がダメージを受けません。
以前は、逆T字型のコンクリート部分以外は土そのままだったので、地中の水分が上がって土台(木材部分)に直接当たっていました。
そのため、土台が腐ったり、シロアリの被害を受けていたのです。
現代では、防湿コンクリートで地表が覆われるため、地中の水分の影響を直接受けません。
引用:宮城の家づくり情報局
この防湿コンクリートは、厚さは6㎝以上という設計基準がありますが鉄筋は入っていません。
ベタ基礎
ベタ基礎とは、基礎の立ち上がり部分と床一面が鉄筋コンクリートになっている基礎のことです。
地盤と接している部分が広く、荷重が分散されて安定しています。
それゆえ、地震のゆれに対して強いです。
引用:クレバinfo
ベタ基礎の床一面を床スラブと言いますが、この床スラブには何本もの鉄筋が張りめぐらされています。
さらに床スラブには、厚さ15㎝以上という建築基準があります。
引用:宮城の家づくり情報局
布基礎に比べて、鉄筋量とコンクリート量が多くなるので割高になります。
床スラブで地表を覆っているので、「湿気を直接受けない」「コンクリートが厚い」という点が「シロアリ予防に最適」とされています。
【シロアリ予防】ベタ基礎がシロアリ被害を受ける理由
厚いコンクリートで地表を覆っている「ベタ基礎」ですが、完全なシロアリ予防になるのでしょうか?
シロアリは北海道北部より南では、日本中どこにでもいます。
土の中に巣をつくって生きています。
はたしてシロアリは、ベタ基礎の厚いコンクリート部分を突破して、ごちそうである木(家)までたどり着けるのでしょうか?
以下3つの要素から、「ベタ基礎でもシロアリ被害にあう」と考えられます。
ベタ基礎の下は理想の住み心地
ベタ基礎は地盤の上にコンクリートを流し込み、大きな一枚板のようになっています。
地表をコンクリートで覆うことで、地中の湿度が保たれるようになりました。
この湿度が高い土壌が、シロアリにとって理想の家なのです。
つまりベタ基礎を作ることにより、シロアリへ最高の家をプレゼントすることになってしまうのです。
布基礎においても、防湿コンクリートが同じく湿度を保つ要素になっています。
コンクリートはクラック(ひび割れ)ができる
先ほど述べたように、ベタ基礎の床スラブは15㎝以上とされています。
大手住宅メーカー標準仕様においても、床スラブは15㎝です。
身の回りのコンクリート建築物を観察してみてください。
経年劣化により、コンクリートにひび割れができます。
度重なる地震や、コンクリート内部の水分が抜けることなどが主な原因です。
ひび割れのわずかな隙間にシロアリは大あごを入れて、少しずつ剥がしながら進んでいきます。
厚さ20㎝のコンクリートを貫通したというデータもあります。
布基礎の防湿コンクリートもわずか6㎝厚のコンクリートで、さらに鉄筋も入っていないので、シロアリが通り抜けるのは容易ですね。
ベタ基礎だろうと、シロアリ対策は万全といえません。
配管とコンクリートにすき間ができる
家でガスや水道を使うには配管が必要ですよね。
配管を通すには、ベタ基礎のコンクリートを貫通させなければなりません。
このときに生じるわずかな隙間を、シロアリは見逃さないのです。
コンクリートのひび割れと同様に、床下へ侵入する足掛かりになります。
・・・みたいなことになってるのね。
【シロアリ予防】ベタ基礎だからって手抜きしないで!建設時の落とし穴
ベタ基礎がシロアリ予防の効果が高いというのは、「布基礎に比べたら効果が高い」というだけです。
しかし工務店や住宅メーカーでは「ベタ基礎=完璧なシロアリ予防」という認識が広まっています。
そのため、基礎造り前の段階で行うべき「薬剤による土壌処理」を省略する傾向があります。
これが、ベタ基礎特有の「シロアリ予防の落とし穴」です。
ベタ基礎の厚いコンクリートすら、シロアリは貫通できるのです。
ベタ基礎だからといって安心せず、シロアリ予防は万全を期して薬剤による土壌処理が行われるか確認しましょう。
【シロアリ予防】シロアリを寄せ付けない家にするには?
建設前に土壌処理をされたベタ基礎は、シロアリ予防の効果が見られます。
さらに「こまめなセルフ点検」と「5年に1回の業者によるシロアリ予防施工」を行えば、十分安心して暮らせるでしょう。
なぜ5年ごとにシロアリ予防をするかというと、薬剤の効き目が5年で切れるからです。
薬剤について詳しくまとめたので、こちらをご覧ください。
シロアリを寄せ付けない家にするためのセルフ点検項目を、チェックしやすい「お手軽度」別に紹介します。
お手軽度★★★
この項目は家の中で簡単にできるものなので、こまめにチェックしましょう。
- 壁・床・柱に、雨漏りによるシミがないか
- 押し入れはカビ臭くないか
屋根・外壁・ベランダなどから雨が染み込んで、雨染みができていませんか?
シロアリは、水分を十分に含んだ木材が大好きです。
また、カビ臭いということは家に湿気がたまっているということ。
雨漏りを改善して、十分な換気を行いましょう。
雨漏りの原因や修理費用の相場をまとめましたので、雨漏りでお悩みの方はご覧ください。
お手軽度★★
この項目は、家の外周りに関することです。
家周りを意識してスッキリさせましょう。
- 庭や家周りに廃材・木材は置いていないか
- 家の外壁近くに、たくさんの植木や盆栽はないか
木材が地表に置いてあると、光と風が大嫌いなシロアリでも外気に触れることなくたどり着けます。
特に廃材を基礎近くに置いていると、廃材→基礎→土台(木)と簡単に進めます。
また、外壁の近くに盆栽や、木製プランターを置くのは危険です。
外壁近くに置いた木製プランターへの水やりは、シロアリをおびき寄せているようなもの。
プランターをプラスチック製に変えるか、外壁から離して楽しみましょう。
お手軽度★
この項目は建築後に変えられない部分なので、1つでも当てはまる方は「羽アリが飛んでいないか」「蟻道ができていないか」など、こまめに観察しましょう。
- 床下換気口が少ない
- 池・川・井戸が近くにある
- 家の周りが木製の柵で囲われている
基礎には、換気口が設置されています。
1辺あたり2個以上の換気口があると良いでしょう。
また、近くに池・川・井戸があると地盤自体に水分を多く含んでいるので、シロアリが生育しやすい環境です。
そのうえ木製の柵で囲われていると、家周りでもシロアリにとって「理想の家」と「美味しいごちそう」が出来上がってしまいます。
木製の柵を撤去しましょうとは言いません。
きっとご家族のこだわりか、お気に入りでしょうから。
撤去しない代わりに、こまめに木製の柵がシロアリに食べられていないかチェックしてくださいね。
【シロアリ予防】ベタ基礎は安心!?予防の手抜きしないで!のまとめ
- ベタ基礎の下は湿度が保たれるので、シロアリの理想の住み家になる
- シロアリは、コンクリートのひび割れや配管を通したときの隙間を広げて、貫通させる能力がある
建築業者の間では「ベタ基礎そのものが、最高のシロアリ予防」と認識されていることが多い
→基礎造り前の「薬剤による土壌処理」を省略される傾向がある。
ベタ基礎で家を建てたからといって、安心しないでください。
今から家を建てる予定の方は、建築業者に「シロアリ予防の土壌処理の有無」を確認してくださいね。
シロアリ予防を徹底的にするために、ホームセンターで薬剤を買ってDIYするのではなく、5年ごとにシロアリ予防を専門業者へ依頼してくださいね。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。