リフォームの費用には相場はないといわれています。
はっきりとした基準がない中で、どう判断したらいいのかわからないのが「値引き」です。
・値引きってどれくらいしてもらえるの?
・いつ値引き交渉したらいいんだろ?
・値切りすぎたら手抜き工事されないかな・・?
考えれば考えるほど自分の考えに自信がなくなり、思い切った値引き交渉に踏み切れなくなりますよね。
■目次
リフォーム見積もりの値引き率とは?
前提として、どのリフォーム会社も見積もりからの値引きには必ず応じてくれます。
ただし値引きの金額はさまざまです。
値引きの相場を知るには、リフォーム会社がなにで儲けを出しているのかを知ることがポイントになります。
「儲け=利益」っていうイメージよね。
そうやって「利益」って一言でいうけど、5つの種類があるんだ。
リフォーム会社の5つの種類の利益
- 粗利
- 営業利益
- 経常利益
- 税引前当期純利益
- 当期純利益
・・あっくん。母さんもうイヤになってきたわ。
ごめん。ちょっと難しい漢字ばかりだよね。
注目して欲しいのは、たったひとつ。 「粗利(売上総利益)」といわれる利益なんだ。
粗利は、すべての利益の土台になる項目なのです。
粗利(売上総利益)=売上高-原価
売上高:お客さんに商品やサービスを提供した対価として受け取るお金
原 価:売上を上げるために仕入れた金額。宣伝費、人件費などは含まれない。
リフォームに置きかえるとこうなるよ。
・売上高は、見積もりの合計金額
・原価は、キッチンなどの設備費や設置施工費
粗利がマイナスになると、リフォーム会社の経営は危機的な状態になってしまいます。
それは大変!
じゃあ、粗利を確保できる範囲なら値引きをしてもらえるのかしら?
そういうこと。 粗利を確保するために、粗利率という割合を基準にしているんだよ。
リフォーム見積もりの粗利率
粗利率とは、売上に対する粗利の割合です。
粗利率 = 粗利益額 ÷ 売上高
粗利益額:売上高からキッチンなどの設備費(原価)を引いたもの
売上高 :お客さんに商品やサービスを提供した対価として受け取るお金
粗利率は、売上高と原価のバランスが取れているのかを知る目安になります。
契約した金額の何%を粗利として確保するのか、ちゃんと計算して見積もりの金額をだしているんだ。
・・ねぇ。いろいろ計算が続いてわからなくなってきたわ。
そういうと思った!でも、めちゃくちゃ簡単なんだよ。
例を出して一緒に考えてみましょう。
例:キッチンのリフォーム
●見積もり合計金額 (売上高) 150万円
●キッチン設備や設置施工費 (原価) 100万円
まずは、粗利を求めるよ。
売上高 ー 原 価 = 粗利(売上総利益)
150万円ー100万円= 50万円 (粗利益額)
この粗利をもとに、粗利率を求めるね。
粗利益額 ÷ 売上高 = 粗利益率
50万円 ÷ 150万円 = 0.33333
最後に簡単な算数だよ。 ここで出た数値に100を掛けて「%」に直すと・・・
0.33333 × 100 = 33%
つまり、33%の粗利率があるということだよ。
あら簡単!
で、この粗利率っていうのはリフォーム見積もりではどう考えたらいいの?
守るべき粗利率の基準をあらかじめ決めておくんだ。
基準にした粗利率を下回らない範囲で、見積もりから値引きをする額を決めるってことになるんだよ。
粗利率は、売上高と原価のバランスが取れているかを知る目安になる割合ですよね。
この割合を保つことは、リフォーム会社の経営状態を保つということになるんです。
粗利率には死守ラインがある!
リフォーム会社の粗利率は、約30%が必ず守らなければならない死守ラインといわれています。
うえの図は、全国のリフォーム会社600社から生産性や工事単価、粗利率といったさまざまなデータを集めて平均を割り出したものです。
全国平均の粗利率は「28%」になっているよね。
現実では、守らなければいけない約30%の粗利率より少なくなってしまうのね。
約30%の粗利率を基準に考えた場合。
- 下回れば、経営が困難な状態。
- 上回れば、経営がうまくいっている状態。
ということになります。
ところで、約30%の粗利率って多いと思う?少ないと思う?
ちょっと多くない? 合計金額が150万円のリフォームだったら49.5万円は利益になるってことじゃない。
依頼主からすると、リフォーム会社ばかりが得をしていると思える割合ですよね。
ここで、最初に説明した5つの利益の話をもう一度思い出してください。
粗利は、すべての利益の土台になる項目だったよね。
土台ってことは、必要な経費はまだ引かれていないってことなんだよ。
図をよく見て。
えっ?あらら!
販売費・営業外費用・特別損失とか・・。
粗利から引かなければいけない項目がまだあるわね。
そう。粗利が全て儲けになるってわけじゃないんだ。
以上のことから、リフォーム会社は見積もりの合計金額のうち約30%を粗利率として目安にしているのです。
この割合を守らないと、リフォーム会社は倒産してしまいます。
つまり、粗利率が下がってしまう範囲での値引きはできないんだ。
なるほどねぇ。リフォーム会社にも限度ってものがあるのね。
リフォーム見積もりで値引き交渉はできる
値引き率は、リフォーム見積もりの合計金額の5%~10%が限度と考えておくと間違いありません。
見積もりの合計金額をもとに粗利率を計算して、粗利と値引き交渉が予想される金額をあらかじめ上乗せしているからです。
見積もりの見方にはコツがあります。価格だけに気を取られて、大切なことが読みとけていないままにならないよう気をつけてくださいね。
値引き交渉のタイミングとは?
値引き交渉は、リフォーム見積もりを受け取ってから、正式に契約するまでにしなければいけません。
考えてみてください。
結婚式場の契約や、車を買う時の契約。
契約のサインをしてしまったあとから値引き・解約のお願いをしても、条件なしでは聞き入れてもらえないものです。
契約の直前であっても、値引きをして欲しい気持ちを伝えてもいいの?
契約の前なら、大丈夫だよ。 ただ、自分の希望を一方的に伝えることはよくないから注意してね。
見積もりを作るにも、リフォーム会社のコスト・手間がかかっています。
もちろん打ち合わせにおいても同じことです。
「自分は依頼主なんだからそんなの関係ない!」と自分の気持ちを一方的に押しつけてしまっては、リフォーム会社との信頼関係がこわれてしまいます。
・契約の直前で申し訳ないんだけれど、他のリフォーム会社と迷っている。
・こちらの要望に合わせて熱心な打ち合わせをしてもらったけど、やはり値段が高いことが気になる。
今までのリフォーム会社の対応に感謝しつつ、誠意をもって自分の気持を伝えてみましょう。
そうすると、リフォーム会社から思わぬ素敵な提案を受けることもありますよ。
できることなら、契約の直前での変更は避けたいものです。
値引き交渉の下準備として、見積もり作成の依頼をする時に自分の予算の限度額を伝えておくことはとても有効です。
会社の規模でリフォーム費用は変わる
リフォーム会社の規模は3つあります。
①職人さんが営んでいる個人店
②工事店 (工務店・塗装店など)
③リフォーム営業会社
同じリフォーム工事を依頼したとしても、リフォーム会社の規模により見積もり金額は大きく変わります。
例えば、職人さんが営んでいる個人店で30,000円で請け負ってもらえるリフォーム工事があるとします。
他のリフォーム会社に依頼するとこのような費用の差が出ます。
リフォーム営業会社と比べたら、倍近くも違うじゃない・・・!!
会社の規模が大きくなればなるほど、下請けの職人や営業担当などリフォームに関わる人数がふえます。
会社の事務所費・広告費・営業人件費など、必要になる経費もかさんでしまうのです。
会社の規模で値引き率も変わる
リフォーム会社の規模によって費用が変わるんなら、値引き率もきっと変わるのよね?
まずは値引きの判断のもとになる粗利率から見てみよう!
- 中小のリフォーム業者:20〜30%
- 大手のリフォーム業者:30~40%
大手のほうが必要な経費がふえるんだもの。
粗利率も当然あがるわよね。
では、値引き率はどうなるのかというと・・・
個人店 > 工事店 > リフォーム営業会社
という結果になります。
会社の規模が大きくなればなるほど、リフォーム費用だけではなく経費もかさみます。
経費がかさんでしまうぶんだけ、値引きできる余裕がなくなってしまうんです。
大手にリフォームをお願いするより、個人のお店とか工務店にお願いする方が安くていいってことなのよね?
って思うでしょ?それがそうでもないんだよね。
理由は、実際にリフォームされた方の声を聞いたほうが納得できると思うよ。
工務店から大手メーカーまで。費用についての満足度を調査!
「リフォーム評価ナビ」という、一般財団法人が公正・中立な立場で運営しているリフォームのポータルサイトで口コミを調べてみました。
魅力の個人店:有限会社杉山工務店
私たち職人は、お客さまにとっての一番は何か、を最優先に考えて仕事をします。
手造りだからできる細やかな工夫やしつらえこそが、杉山工務店の良さだと自負しているからです。 そんな私たちが最も大切にしているのは、現場。言い換えれば、現場が見られない、目の届かない範囲 での仕事はお断りします。徹底的に現場を見つめ、丁寧な仕事をするのが信条。少々不器用なようですが、 杉山工務店はこれからもとことん手造りの良さを追求していきます。
注文住宅の設計施工、住宅リフォーム、耐震・免震のご相談、住宅に関することなら杉山工務店にお任せ下さい。 向日市、長岡京市、大山崎の街とともに50有余年。お客さまにとっての一番は何か、を最優先に考えて仕事をします。2代目 杉山 勉
引用:有限会社杉山工務店
社長さんの笑顔が目を引く、京都府にある有限会社杉山工務店さんの口コミをご紹介します。
こちらは従業員3名という小規模の地域密着型の工務店です。
・家の外回りを点検していただいて、この際、改修すべきところを提案していただき、修理していただいた。良心的な価格でした。
引用:リフォーム評価ナビ
(M・Sさん/ 50歳代 男性/ 京都府 京都市西京区)
・仕上り満足。納得出きる工事費だった。
(N・Kさん/ 60歳代以上 男性/ 京都府 宇治市)
・当方の意向を話し合い、良く相談に乗ってくれる。価格は高めだが品物が良いので納得している。
(R.Fさん/ 60歳代以上 男性/ 京都府 京都市南区)
従業員数3名でこの満足度はすごいわね。
依頼主は、工務店の確実な仕事を評価したうえで価格に納得しているよね。
スタッフさんの努力の大きさは無視できないね!
確実な実績あり!中規模業者:株式会社 ダイニチ
信頼と安心をモットーに
株式会社ダイニチは、昭和45年に創業以来、塗装専門会社として発足し、新築・塗替えを問わず塗装全般にわたり、豊かな経験と実績を積み重ねてきました。
また、その間多くの技能士を輩出し、社会に貢献いたしてまいりました。近年は「建築構造物のリニューアル事業を中心とした、地域一番の総合改修工事業者」を目指し、事業の展開を図っております。そのため特定建設業を平成6年に取得いたしました。
そして何よりも「自分たちの施工した仕事は、最後まで自分達で責任を持つ」をモットーに事業を進めております。
そのために国土交通省認定の「工事完成保証」「長期性能保証」両制度も取得いたしております。今後も経営理念であります「お客様第一主義」、「社会への貢献」そして「社員の幸福」、皆様の「夢の実現」のため、本店を地元に置き、地域一番の総合改修工事業者を目指し、一層の努力、精進いたしてまいります。
引用:株式会社ダイニチ
皆様に更なるご指導、ご愛顧賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
「お客様満足度100%」をモットーとしている、福岡県にある株式会社 ダイニチさんの口コミをご紹介します。
アメリカ領事館のリフォームも手掛けた実績のあるリフォーム会社なんです。
・他社と比較しても、妥当な金額設定だと思いました。仕上がりも良かったので、納得の工事費だと思っています。
引用:リフォーム評価ナビ
(モッチさん/ 30歳代 男性/ 福岡県 行橋市)
・少し高いかなぁとおもいましたが、材料や施工内容を聞いて、その差が理解できました。
(H・Sさん/ 30歳代 男性/ 福岡県 福岡市南区)
・工事内容と比べて、まあ満足できる価格ではないでしょうか。営業担当の情熱に負けたところはありますが・・・でも、良かったと思います。
(U・Kさん/ 40歳代 男性/ 福岡県 福岡市西区)
営業担当さんの情熱に負けたって・・! 今どきこんな風に熱くなってくれる営業さんもいるのね。
その情熱があるから、「少し価格が高いなぁ」と感じても高い満足度につながるんだろうね。
説明不要の大手メーカー:ミサワリフォーム株式会社
経営理念
- 安全・快適で環境を重視した家づくり、街づくりを行います。
- 法令を遵守し、倫理を重んじて誠実に行動します。
- 地球全体を視野に入れ、環境保全活動などを行い、社会に貢献します。
- 企業価値の向上に努め、長期安定的な成長により、ステークホルダーとの共存共栄を実現します。
- グループ社員が相互に信頼し、協力し合って能力を発揮できる職場をつくります。
- 適正な財務報告・情報開示と適切なリスク管理を行います。
引用:ミサワホーム
いわずと知れたハウスメーカー「ミサワホーム」のグループ会社です。
2018年10月に「ミサワホームイング」から「ミサワリフォーム」に社名が変更されています。
・良く頑張ってくれた。依頼主の立場にたって良い素材を使用し誠意ある施工をする優良会社
(karasanさん/ 60歳代以上 男性/ 神奈川県 横浜市金沢区)
・見直しをしながら折衝し、予算に近い金額で契約しています。営業の方も工事の方も皆好印象の方達で安心ですし、気持が良いです。
(A・Sさん/ 60歳代以上 男性/ 東京都 小平市)
・うーん。品質がよいからとても安額というわけにはいかないですね!!次はキッチンをお願いしようかと思っています。だって営業の方が一生懸命だから・・・。
(IWASAKI・Kさん/ 40歳代 男性/ 東京都 八王子市)
引用:リフォーム評価ナビ
大手メーカーにお願いするメリットって「高い費用を払って、大手の安心感を買うこと」が大きいって思ってたわ。
実際は、依頼主ひとりひとりに寄り添った提案をしてくれるのね。
自分の家のことを一生懸命考えてもらえたら、とにかくうれしいよね。
価格も大切だけど、信頼できるリフォーム会社なのかを見極めることが満足できるリフォームにつながるんだね。
【結論】リフォームは信頼関係を築いてから値引き交渉する
口コミを見てよくわかったわ。
価格が安いからいいってことじゃないのね。
見積もりの価格に納得のできる提案・説明を受けることができていれば、満足できるリフォームにつながるんだ。
値引きはリフォーム会社を選ぶ時にとても大切になるポイントです。
「できるだけ安くしたい!」と意気込むことは誰でにでもあると思います。
ですが、リフォームやリノベーションの費用の内訳はこのようになっているのです。
リフォーム費用って職人さんの工賃の割合が一番多いのね。
でしょ?
ってことは、値引きができる項目は限られてくるよね。
リフォーム費用のほとんどが、リフォームの質につながっていることがよくわかるわ。
そこに気がついてくれたのなら、もう説明がいらないよね。
いきすぎた値引き交渉をしないほうがいい理由!
リフォーム見積もりの値引きには、必ず応じてもらえます。
ですが、限度を知らずに値引きを繰り返してしまうとトラブルが起こる原因になります。
- 職人・材料の質を下げられる。
- 追加工事で請求される。
リフォーム工事は、見積もりを作成してくれる人・設備を手配してくれる人・工事をしてくれる人。
どの部分も人がかかわることで成り立っています。
だから僕は「リフォームの成功はリフォーム会社選びで決まる」と考えているんだ。
リフォーム会社の立場に理解を示して、信頼関係を築いたうえで値引き交渉をすることが大切なのね。
まとめ
リフォーム見積もりの値下げ交渉について、知っておくべきポイントをお伝えしました。
- リフォーム見積もりは値引き交渉すれば必ず応じてもらえる。
- 経営を保つために、リフォーム会社は約30%の粗利率を設定している。
- ただし、リフォーム会社の規模により値引き率は変わる。
- 実際にリフォームに成功している人は、見積もり価格に納得している。
- リフォーム会社と信頼関係を築けた場合、リフォーム費用に関わらず満足度は高くなる。
リフォームは楽しく計画することが成功につながる第一歩だと僕は思っています。
読者様が、信頼できるリフォーム会社と本心で値引きについて語り合うことができますようお祈りしております!
リフォームの見積もりにはルールがあります。こちらで詳しくまとめていますので、よかったら読んでみてください。
記事を取得できませんでした。記事IDをご確認ください。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今回は、リフォーム見積もりの値引きを成功させるために、知っておくべきポイントを解説します。