毎年やってくる台風。
上陸せずに過ぎていくものや小さいものもあれば、しっかりと爪痕を残していく大規模な台風も。
賃貸住宅を経営している方であれば、台風による建物の被害や入居者への補償は気になりますよね。
今回は以下の3点について解説したいと思います。
- 台風の雨漏り被害のために家主が入っておく保険
- 雨漏りの被害から入居者を守る保険
- いざという時のトラブルを防ぐポイント
災害時の対処、入居者への真摯な対応をすることで、入居者との信頼関係ができて安定した家賃収入にもつながります。
家主である自分自身も、入居者も守れるよう、きちんと保険の知識を身に着けておきましょう!
台風による雨漏りの原因
「台風による雨漏り」と言っても、雨が入ってくる原因はいろいろあります。
- 屋根がはがれた
- 壁にヒビが入った
- 雨どいが壊れた
- 窓が割れた
アパートのように1棟に何人もの入居者がいる場合には、台風の被害となるとあちこちで雨漏りが起こることも考えられますね。
実際に、賃貸で雨漏りしたという例をご紹介します。
台風ヤバい…風向きが変わったので↓の雨漏りはとりあえず、止まったっぽいけど……賃貸の1階で、まさかの雨漏りを経験するとは思わなかった(調べたら、あり得ることっぽいけど、そんなこと想定してないからビックリした) pic.twitter.com/yILVIb81Ct
— なずな (@snazuna) August 23, 2018
引用:Twitter
うちのマンションは4階たて。のうちは3階なんだけど…雨漏り??してるんだけど。前から天井のクロス貼りそんな丁寧じゃないなとは思っていたけど、膨れてるところあるなぁ…。賃貸だけど欠陥マンションなんかねー。この台風だから?いや、上の階あるしなぁ。。。バケツ?バケツいるのかなぁ。 pic.twitter.com/2XNJQPC2NX
— サノミキ☆ (@sanomikinco) September 4, 2018
引用:Twitter
このように最上階でなくても雨漏りするケースは意外にもたくさんあります。
貸している部屋が雨漏りしてしまった場合、修復のための費用はどうしたらよいでしょうか?
台風による雨漏りは火災保険で補償できる!
台風によって、所有しているアパートのあちこちで雨漏りが起きてしまったら大変な損害ですよね。
そのために入っておくのが火災保険です。
雨漏りに関係あるの?
火災保険は、火事だけでなく雪や土砂崩れ、雷など自然災害による損害を手広く補償してくれる保険です。
台風による雨漏りは、その中でも「風災」というくくりに入ります。
自然災害の中でも、地震による損害への補償は地震保険への加入が必要です。
火災保険の適用範囲の詳しい内容についてはこちらをお読みください。
投稿が見つかりません。
台風による雨漏りを直すとなると、屋根や外壁の修理など大掛かりな工事になることも十分に考えられます。
大規模な工事になるほど、費用も大幅にアップしますので、火災保険には必ず加入しておくべきです。
家主向けの保険と損害補償の範囲
家主と入居者で責任の所在は違ってきます。
ここでは、家主側の負担を補償する保険をまとめました。
建物保険
火災保険の対象は、大きく分けると「建物」と「家財」に分けられます。
台風のような予想のできない災害が起きたことによって出た損害は誰の責任でもありません。
そのため家主が所有している家(=建物)は、家主自身で復旧の費用を負担しなければなりません。
火災保険の中で「建物」とは、家に取り付けてあって持ち出すことができないものを指します。
- 屋根、天井
- 壁
- 風呂の浴槽
- キッチン
- 塀や門など
これ以外にも戸建ての賃貸住宅であれば、外に置いてある物置や車庫も建物の範囲に入ります。
一方、「家財」は家から持ち出すことのできる生活用品を指します。
- ソファ
- 洗濯機
- 衣類
- 布団
家財は入居者の所有物なので、台風で家財に損害が出た場合、家主側に賠償責任は発生しません。
入居者自身が実費や保険を使って修理をしたり新調することとなります。
施設賠償責任保険
建物の所有者(家主)が、その建物に関することで相手の物を壊してしまったり、ケガをさせてしまった時のお金を補償する保険です。
- 劣化によって屋根が壊れて雨が入り、入居者の家財が濡れてしまった
- 住宅の周りにあった塀が崩れて、通った人にケガをさせてしまった
台風が来た時に雨漏りが起こったとしてもそれが保険会社によって「台風が原因」だと判断されなければ火災保険は下りません。
台風が来る前でも、雨漏りしていたり入居者から不具合があるところの修理を申し立てられたら、すぐに対応するのは家主としての責任です。
しかし、劣化や不具合に気づかず、事故が起きてしまうことも十分考えられます。
所有している物件のせいで入居者に損害があった場合には、家主に損害賠償責任が発生します。
誠意を尽くし、その後も長く住んでもらうためにも施設賠償保険は大切な保険です。
残存物取片付け費用保険金
台風によって窓が割れたり屋根が壊れたりして、残骸が散乱してしまうこともあります。
こういった建物の一部が破損したカケラの片づけは、家主に責任があります。
残骸を集めたり処分したりするためにかかった費用を補償してもらえるのがこの保険です。
家賃保障保険
台風が原因で、修復のための大規模な工事をすることになった場合、工事期間中に入居者に家を空けてもらわなければならないこともあります。
それによって家賃収入が減ったり無くなったりしてしまった時にその損失を補償してもらえるのが家賃保証保険です。
保険会社によって保障される期間や金額の決め方はそれぞれなので、いくつか比較してみるのがおすすめです。
保険金の決め方
それぞれの保険で、補償金がどこまで下りるのかは「新価」と「時価」のどちらで契約するかで決まります。
新価 | 被災した部分を新しいものに替えたり、修理した分だけ補償してもらえる。
時価と比較すると保険料は高くなる。 |
時価 | 使用した分だけ建物や家財の価値は下がるので、被災をした時の劣化具合に応じて保険金が支払われる。
古い建物や劣化が進んでいる場合にはほとんどもらえない場合もある。 |
時価での契約だと、いざ台風の被害にあったという時に保険金が足りず、賃貸住宅の復旧ができないということにもなりかねません。
復旧費用が高くついた時のためにも、新価での加入が安心です。
賃貸住宅の復旧のために退居が必要になったら
台風で住むのが難しいほど家が損壊してしまったり、修理に大規模な工事が必要になったりすることも少なくありません。
そういった時には復旧までの間、入居者に仮住まいに引っ越してもらわなければならないケースもあります。
これから説明していくね。
家主の義務
自然災害によって建物の一部が壊れたり雨漏りした場合、大家には家を修繕する義務があります。
修理をしないために入居者がそこに住めなくなったり、不利益を被っている場合には、入居者は家賃の支払いを拒否することができます。
雨漏りしたことがわかったら、すぐに修理の手配をしましょう。
反対に損壊が一部ではなく全壊してしまった場合は、修繕する義務は無くなります。
退居のための費用の負担は?
退居の理由が自然災害による修復の場合には、退居のための引っ越し費用やその間のホテル代等を支払う責任は大家にはありません。
そして修復工事の間、入居者に他の場所へ移ってもらう権利があります。
ただ、工事期間が長い場合には入居者が引っ越しをしてしまい、家賃収入がなくなってまうということも考えられます。
そのため、引っ越し代を負担したり仮住まいに住む費用の一部を負担することで、戻ってきてもらえるよう交渉するという方法もあります。
自然災害の場合、被害が広範囲に及ぶことも少なくありません。
そのため、修理業者がなかなかつかまらないということも考えられます。
早く工事を終わらせて家賃収入を得るためにも、早めに行動することが大切です。
雨漏りでトラブルにならないために
入居者から問題を指摘されている箇所は、早めに改善をする
台風での損壊は保険が下りるとお話ししましたが、それは通常時の建物がきちんとメンテナンスしてあるということが前提です。
前から壊れていたところが、台風によって被害が大きくなったと判断された場合には保険金は下りないか、額が少なくなってしまいます。
そのためにも、普段から劣化して傷んだり壊れているところがないか確認しておきましょう。
また、家主には貸している部屋が住めなくなったり不利益が出たりすることがないように、修理をする義務があると民法で定められています。
そのため、入居者から修理の依頼や問題個所を指摘されていたのに放置していた場合には、そのことによる損害賠償を請求されることも考えられます。
保険金が下りないことで入居者に最善の対応ができなかったり、責任問題でトラブルになるケースがあります。
日頃からメンテナンスは怠らないようにしましょう。
入居者に加入しておいてほしい保険
家主に建物のメンテナンスをする義務があるように、入居者にも借りている部屋に問題が出ないよう管理する義務があります。
それを善管注意義務と言いますが、これを怠って建物に損害があった場合、家主が入居者に損害賠償を求めることができます。
万が一そうなった場合、入居者に支払い能力が無ければ修復に必要なお金はもらえませんし、入居者との関係は悪くなってしまいます。
それを防ぐ方法が、入居者にも保険に入ってもらうというものです。
賃貸住宅の契約の際に、入居者が保険に加入しなければならないという法律はありません。
しかし保険に入ることを入居の条件として提示することはできます。
実際にほとんどの賃貸住宅が、入居時に火災保険への加入を条件としています。
なぜかというと、台風や自然災害以外の事故が起こった時にも入居者が保険に入っておいてもらうことで入居者はもちろん、家主もいざという時に助かるからです。
トラブル回避のために、入居者に入っておいてもらいたい保険をご紹介します。
■家財保険
台風によって入居者の所有物である家財に損害が出た場合、家主に賠償責任はありません。
しかし入居者が家財保険に入っていないと、入居者から家主に支払いを求められてトラブルになるケースがあります。
台風で雨漏りが起きた時には、壁や床など部屋自体の修復費用は家主が、家財の補償は入居者自身で負担することになります。
家財保険は台風以外の自然災害はもちろん、盗難や破損・汚損した時にも補償してもらえるので入居者自身のためにも入ってもらうことを強くおすすめします。
■借家人賠償責任保険
入居者の過失によって、火災・爆発・破裂・水濡れによる損害があった時に、入居者から家主に対して支払う損害賠償を補償する保険です。
- コンロの火を消し忘れて火事を起こした
- 洗濯機のホースが壊れて、床が水浸しになった
上記のような事故で借りている部屋に損害を与えてしまった場合に、部屋の修理費や修理の間に入らなくなった家賃分などを請求できます。
■個人賠償責任保険
入居者が大家さん以外の個人に対して、損害賠償責任を補償するのがこの保険です。
前の例であったように、借りている部屋で洗濯機のホースが壊れたことにより水浸しになって下の階にまで水漏れしてしまったとします。
そうなると下の階に住んでいる人の家財にまで損害を出してしまいかねません。
借家人賠償責任保険では家主に対しての賠償責任しか補償されませんので、近隣の人への補償はこちらの保険を使うことになります。
■臨時宿泊費用保険
台風のような自然災害が原因の雨漏りの場合には、被災箇所が大きく、修理のための工事も大規模になることが予想されます。
そうなると工事の間に、他の場所に移っていてもらうことになりますが、その間の宿泊費用を補償してくれるのが臨時宿泊費用保険です。
台風で雨漏りが起きた時のための保険まとめ
- 台風で被災した時のために家主向けの保険に入っておく
台風のような自然災害の場合には火災保険が使えます。
被災した時は建物の修理以外にも様々な出費が考えられるので、保険内容を理解した上でしっかりと補償してもらえる保険に加入しておきましょう。
- 修理工事の間に家賃収入がなくなってしまわないように対策しておく
建物の修理をするために、工事の期間中は入居者に一時的に退居してもらわなければならないこともあります。
その時に入居者に対してどのような対応をするか、また家賃収入がなくなる間どうするかをきちんと考えておきましょう。
- 普段のメンテナンスをきちんとすることで、トラブルを防ぐ
台風の被害に合った時、保険金をもらうには建物が正常な状態であったという前提が必要です。
入居者に気持ちよく住んでもらうためにも、普段からのメンテナンスには気を配りましょう。
- 入居者にも保険に入ってもらうことで、お互いに不利益にならない関係を
賃貸契約時に入居者に保険に加入しておいてもらうことで、家主はもちろん、入居者の損害もカバーしてもらうことができます。
家主と入居者の両方を守るためにも、入居者に保険の加入をお願いすることは必要です。
台風による建物や家財への被害は怖いですが、きちんと保険に入っておくことでお金の補償だけでなく、入居者との良好な関係を壊さずに済みます。
もしもの時、家主として入居者に誠実な対応ができるよう、改めて保険の見直しと建物のメンテナンスをしておきましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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