新築から20年、30年が経過すると、外壁の劣化や住居空間の快適性、外観のイメージチェンジなどについて気になってくると思います。
しかし、外壁のリフォームを検討していると、素材やデザインなどで意見が割れ、行き詰まってしまいませんか?
今回ご紹介する「ラップサイディング」は、外観が美しく仕上がり、かつメンテナンスもしやすいのでおすすめです。

ラップサイディングで仕上げると、海外の家のようなおしゃれな外観になるのが特徴的です。
そこで、本記事では以下のことについて解説していきます。
- ラップサイディングとは?
- ラップサイディングにリフォームするときの価格は?
- ラップサイディングのデメリットとメリットは?
- ラップサイディングにリフォームするとき気をつけるべきことは?
この記事を今後の対応にお役立ていただければ幸いです。



管理人のあつしです!
外壁・屋根・雨漏りのことなら何でもおまかせ!
- 外壁アドバイザー資格保有
- 実家のリフォーム経験あり
- 趣味はDIY
- わかりやすい説明と適切なアドバイスに定評あり


ラップサイディングとは?


ラップサイディングとは、細い板を一枚ずつ重ね張りして仕上げる工法のことです。
アメリカやヨーロッパの木造建築で古くから用いられており、日本では「鎧張り」「下見板」「横羽目」と呼ばれています。



ラップサイディングの家はアメリカンスタイル、カントリー調になり、クラシカルでレトロな雰囲気が漂ってとても素敵です。
ラップサイディングには、ほかの外壁材や施工方法にはない特徴がたくさんあります。
ラップサイディングの施工方法
ラップサイディングでは板を一枚ずつ重ね張りしますが、そのときにコーキング剤ではなく釘を使用します。
全体的にコーキング剤の使用箇所が少ないため、コーキング剤の劣化によるトラブルやメンテナンスの回数を抑えられます。





それでは、ラップサイディングの施工工程を簡単にお伝えします。
①外壁の撤去、下地の準備
外壁をラップサイディングにするには張替え作業をしなければならないので、既存の外壁は撤去することになります。
撤去したら、下地や基礎部、サッシ周りなどの様子を確認し、必要に応じて補修します。
②水切り施工、防水施工、胴縁施工を行う
水切り施工では、雨水や結露などの水が下地に浸入しないよう、ラップサイディングの下端に金属製の板を取り付けます。
防水施工では防水シートを張り、サッシ周りやダクトには防水テープを張ります。
胴縁施工では細長い部材を等間隔に設置することで、水の浸入を防ぐだけでなくラップサイディングの耐久性を向上させたり、断熱性や遮音性を高めたりすることができます。
③板(本体)の張り付け
板は角度を調整しながら、胴縁に釘で固定されていきます。



板の素材によっては、張り付ける前に塗装したり、塗装するかどうか選べたりします。
素材については後ほど詳しく解説します!
④コーキング剤の充填
サッシ周り、入隅・出隅部、ダクト周りなど、必要な箇所にコーキング剤を充填します。
工期は、施工面積や業者のスケジュール、外壁の状態、板の素材などによって異なりますが、約2〜3週間かかるとされています。
ラップサイディングと通常のサイディングとの違い
ラップサイディングと通常のサイディングの大きな違いは、以下の三点です。
- 施工方法の違い
- コーキング剤の使用箇所の違い
- 初期費用の違い
ラップサイディングは板を重ね張りしていくので、板と板の間に隙間はありません。
しかし、通常のサイディングでは板と板を突き合わせて張ることで隙間が生じるため、その隙間にコーキング剤を充填する必要があります。
コーキング剤は劣化すると打ち増しや打ち替えなどのメンテナンスが必要になるので、使用箇所が多ければ多いほどメンテナンス費用がかさんでしまいます。
したがって、ラップサイディングのほうがメンテナンス費用を抑えられる計算になるのです。



劣化したコーキング剤を放置していると、雨水が浸入して雨漏りの原因になる可能性があります。
定期的なメンテナンスが不可欠ですが、もし雨漏りが起きてしまったら早めに修理を依頼しましょう。
雨漏りを放置してしまうとどうなるのか、ぜひこちらの記事をご一読ください。
また、通常のサイディングに比べ、ラップサイディングのほうが初期費用は高くなります。
初期費用を抑えてメンテナンス費用を多く支払うか、高い初期費用を支払ってメンテナンス費用で楽をするか、という見方もできますね。



初期費用が高くなる理由は、後ほど解説します。
【ラップサイディング】素材別の特徴と価格


ラップサイディングの素材には、以下の4種類があります。
- 窯業系
- 樹脂系
- 木質系
- 金属系



それでは、ひとつずつ説明していきますね。
窯業系
素材の特徴 | セメントに繊維質の素材を混ぜて作られている |
メリット | ・耐久性、耐火性、耐候性が高い ・デザインやカラーが豊富 |
デメリット | ・定期的に塗装のメンテナンスが必要 ・板自体が重いため、建物の構造によっては施工の際に建物を補強することがある |
価格 | 約30万〜約80万円/100㎡ |
窯業系の素材は実用的なメリットもありつつ、デザインやカラーをたくさんの種類の中から選べるため、一番人気があります。



ただ、塗装のメンテナンスが必要なので、メンテナンスコストについても考えておいたほうが良さそうです。
樹脂系
素材の特徴 | 塩化ビニル樹脂などの樹脂で作られている |
メリット | ・耐久性、耐火性、耐水性が高い ・軽量なので建物への負担が少なく、施工自体も容易 ・素材に色を混ぜ込んでいるので塗装や再塗装が不要 |
デメリット | ・経年劣化すると、板が変形したり割れたり、色褪せたりする可能性がある ・火災時に有毒ガスが発生する可能性がある |
価格 | 約70万〜約90万円/100㎡ |
樹脂系の素材は軽量であることからメリットも多く、再塗装が不要であることからも、近年人気が出てきています。



有毒ガスの発生についてですが、そもそも樹脂系は燃えにくく、また、有毒ガスの発生を抑えたり燃えにくくしたりする工夫がされた製品もあります。
一緒に検討してみてください。
木質系
素材の特徴 | 天然の木材を加工して作られている |
メリット | ・木ならではの風合いやぬくもりを感じられる ・断熱性が高い |
デメリット | ・防火性が低い ・定期的に塗装のメンテナンスが必要 ・虫や腐食に注意 |
価格 | 約50万〜約80万円/100㎡ |
木質系の素材は、木そのものの質感によって温かみを感じられるのが魅力的です。



燃えやすいことや、素材としてデリケートなので窯業系の素材以上に丁寧なメンテナンスが必要であることなども加味して考えてみてくださいね。
金属系
素材の特徴 | アルミニウムやガルバリウム鋼板などの金属で作られている |
メリット | ・耐久性、耐火性が高い ・塗装や再塗装が不要 |
デメリット | ・熱伝導率が高いため、夏は暑く冬は寒くなりやすい ・雨音が家の中に響くことがある ・塩害や腐食などによって錆びる可能性がある |
価格 | 約40万円〜約90万円/100㎡ |
金属系の素材は耐久性が高い上にメンテナンスの頻度が少なく、しかも外観がかっこよく仕上がるのも素敵ですよね。



雨が多い地域や、海風がよく吹く地域などにお住まいの場合は、かえってメンテナンスの頻度が高くなるかもしれません。
施工業者とよく相談してください。
気になる施工費用は?
ラップサイディングの施工費用には、平均約150万〜300万円ほどかかってきます。
もちろん、使用する板の素材や厚さ、デザイン、施工業者、下地の状態などによって異なりますが、通常のサイディングよりは高額になるでしょう。



なぜ施工費用が高額になるのかは、後ほど解説しますね。
少しでも費用を抑えたいのであれば、複数の業者から相見積もりを取ったり、手頃な価格の素材に変更したりする必要があります。
せっかくラップサイディングにするなら、納得できるまで業者にしっかり相談できるとよいですね。
ラップサイディングのデメリットとメリット


ラップサイディングについて色々と説明してきましたが、板の価格や施工費用の次に気になるのがデメリットとメリットですよね。



高額な買い物になるので、失敗は避けたいところです。
詳しく解説していきますので、ぜひ参考になさってください。
ラップサイディングのデメリット
まずはデメリットから。
一番のデメリットとして、ラップサイディングに用いられている板や施工費用などの初期費用が高いことがあげられます。
理由としては、板の材料費が高いことと、特徴的な重ね張り工法により人件費が高くなることが考えられます。



通常のサイディングと比べ、ラップサイディングの施工費用は1.2倍〜1.5倍ほど高くなると言われています。
もし下地の補修工事も必要になった場合はさらに費用がかさむため、慎重に検討していきましょう。
ラップサイディングはほかの外壁材と比べて需要が少ないため、そもそも業者の母数が多くありません。
したがって、ラップサイディングの経験を積みにくく、きれいに仕上げるための高い技術力を持つスタッフも少ない傾向にあります。



業者選びや、選んだ業者との信頼関係が重要になってきますね。
ラップサイディングのメリット
次に、メリットをご紹介します。
外壁をラップサイディングで仕上げると、それだけでおしゃれな雰囲気になりますよね。
板を一枚ずつ重ね張りするので、独特な重厚感や陰影がほかの外壁材とは一線を画す立体感を作ってくれます。



ラップサイディングの家は少ないですよね。
なので、周りの人から「素敵だな」と思われるような外観になること間違いなしです。
コーキング部分は劣化したところを放置していると雨漏りが発生したり、中の木材が腐食したりしてしまうので、定期的なメンテナンスが必要です。
しかし、ラップサイディングで仕上げると通常のサイディングよりもコーキング剤の使用箇所が少なく済むので、その分メンテナンス費用を抑えられます。



初期費用は高いですが、その後のメンテナンス費用は抑えられそうですね。
それでは、デメリットとメリットをまとめておきます。
デメリット
- 初期費用がかかる
- 取り扱っている業者が少ない
メリット
- 高いデザイン性で唯一無二の外観を表現できる
- メンテナンス費用を抑えられる



これらのほかに、板の素材によってもデメリットやメリットがあるので、予算やお住まいの地域の立地・天候なども加味して検討してみてくださいね。
外壁をラップサイディングにリフォームする前に知っておきたいこと


ラップサイディングに用いられている板の素材や特徴、ラップサイディングのデメリットやメリットをお伝えしてきました。
それらを踏まえた上で「外壁をラップサイディングにしたい!」とお考えのあなたへ、さらにプラスαの情報をご紹介したいと思います。
メンテナンス時期は?
外壁をラップサイディングで仕上げると、板の素材やお住まいの地域の天候などにもよりますが、約10年でメンテナンス時期を迎えます。
具体的なメンテナンスサインとしては、以下のことを参考にしてみてください。
- 塗装の剥がれ、ひび割れ
- カビや苔などの付着
- コーキング部分の劣化
- 落下物などによる破損
洗浄や再塗装、防腐剤・ワックスの塗布、コーキング剤の打ち替えなど、必要なメンテナンスを行い、きれいなラップサイディングを維持したいですね。



劣化や破損は放置していても直りませんし、手遅れになってから直そうとすると費用がかさんでかえって高額になる場合があります。
定期的なメンテナンスと早めの補修で対処していきましょう。
ラップサイディングを取り扱っている業者は?
ラップサイディングを取り扱っている大手メーカーには、以下の会社があります。
- 東レ建材株式会社
- 三井ホーム株式会社
- ケイミュー株式会社
- 旭トステム外装株式会社 など



ラップサイディング風の外壁を取り扱っている業者もあります。
初期費用で行き詰まった方は、そちらを検討するのもアリかもしれません。
業者を選ぶときに気をつけることは?
ラップサイディングの施工実績が豊富な業者なら、スタッフの経験や知識も信頼できますよね。
ホームページに施工事例が載っていたら、参考のためにいろいろ見てみましょう。
施工中や施工後にトラブルが発生した場合、どのような保証をしてくれるのか確認しておいてください。



自信のある業者ほど手厚い保証内容になっています。
見積もりをとったら、材料費や施工費用などの内訳を細かく確認してください。
不明な点があれば必ず業者に確かめて、なおかつ、きちんとした回答を得られるかどうかも見定めておきましょう。



いい加減な対応だと、この先信じ続けてもよいのか迷ってしまいますよね。
業者を選ぶときの注意点をこちらにまとめておきます。
- 施工実績
- 保証内容
- 見積もり書の内容



信頼できる業者と出会い、満足できる仕上がりになるとよいですね!
ラップサイディングは工法も素材も特徴的!慎重に業者を選んで後悔のないリフォームを
ラップサイディングについて、工法や板の素材、デメリット、メリットなどをお伝えしてきました。
- ラップサイディングとは、細い板を一枚ずつ重ね張りして仕上げる工法
- 素材の種類は「窯業系」「樹脂系」「木質系」「金属系」
- 初期費用とメンテナンスコストを考え、素材やデザインを検討していく
- ラップサイディングや板の素材別のデメリット・メリットに加え、家の立地や天候の特徴なども含めて吟味する
外壁をラップサイディングにするだけで、一気に雰囲気のあるおしゃれな外観になります。
初期費用は高いですが、その後のメンテナンス費用が抑えられる点も魅力的です。



業者選びも慎重に行い、後悔のない工事にしたいですね。
また、ラップサイディング以外にもおしゃれな外壁はたくさんあります。
もしほかの外壁を検討したいのであれば、「ヌリカエ」がおすすめです!



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こちらの記事でヌリカエの特徴や口コミ、メリット・デメリットなどをご紹介しています。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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