自営業を営んでいる方、マンション経営をしている方、外装はお店の顔!集客力アップのためには大切ですよね!
そう思って、外壁塗装を新しくしてみたものの・・・困ってしまうのが、その後の確定申告。
「外壁塗装を新しくしたけど、これも確定申告するのかな?」
「確定申告するとしたら、どの項目に入るのだろう。経費で落とせるの?」
「耐用年数って何のこと?自由に決めていいの?」
などと、お悩みではないでしょうか?
実は外壁塗装をした時には、経費として確定申告をすることができるので節税対策になりますよ!
そして、外壁塗装を経費として確定申告しようとする時に必要になってくるのが「耐用年数」です。
しかしこの言葉、税務上の意味を知らないと、ちょっと困ったことになってしまいます。
耐用年数の正しい意味はポイントになりますので、確定申告の前に理解しておきましょう!
さらに、実際に確定申告をしようとすると様々な書類が必要となってきますよね。
外壁塗装を確定申告する時には、どういった書類が必要なのか、どの部分のどんな項目を記入すれば良いのかを説明していきます。
この記事を見ながら、実際に記入してみて下さいね。
外壁塗装を確定申告する時の2つの項目
まずは個人事業主の方が、外壁塗装をした時の確定申告の話をするよ。
えー、確定申告なんて難しい話は気が乗らないけど、聞いてあげてもいいわよ?
個人事業主の方が外壁塗装をした場合、確定申告をする必要があります。
その場合は、以下の2つの費用のどちらかとして処理をします。
修繕費として処理する方法
修繕とは、壊れたり劣化した部分を元の状態に戻すことです。
この範囲内で行われる外壁塗装は修繕費として処理します。
定期的に行うメンテナンスもこれにあたります。
例えば、このような工事を言います。
- 壁のひび割れを直す。
- はがれていた塗料を以前と同じ塗料で塗り直す。
- 雨漏りしていた箇所をふさぐ。
ポイントは、建物の維持のために行うこと、元の状態に戻すということですね。
目安として、金額20万円未満、修繕の周期が3年以内であれば修繕費となるようです。
修繕費は、外壁塗装をした年に一括して経費として処理します。
あまり高額になりすぎたり、デザインをがらっと変えたりした場合は元の状態に戻す範囲を越えているよね。この場合は、次の資産的支出になるよ。
資本的支出として処理する方法
資本的支出とは、建物の価値を高めるためにした支出のことです。
具体的に言うと、このような場合を言います。
- 集客数をアップするために、外壁のデザインを一新した
- 断熱性や耐久性の良い塗料にした
- 加えて防水加工をした
簡単に言うと、性能を元の状態より高め、グレードアップさせることです。
資本的支出となった場合は、外壁塗装は建物の一部とみなされて資産となります。
塗料が資産って、大げさじゃない?
会計上は経済的に価値のあるものはすべて資産なんだよ。だから、塗料も建物の価値を高めるようなものは資産になるね。
この場合、外壁塗装費用は一括して経費とすることができず、数年間に分割して減価償却しなければいけません。
外壁塗装費用を減価償却する方法と耐用年数
あっくん、難しい言葉がたくさんで頭の中がこんがらがってきたわ!
ごめんね。確定申告のことはどうしても難しい言葉が出てきてしまうんだ。母さんがわからないのは、減価償却と耐用年数って言葉だね?わかるように順番に説明していくね。
減価償却とは
減価償却とは、使用したり経年劣化したりして減った価値を費用として処理する仕組みです。
長い間使う物は、その費用も一年ごとに分割して少しずつ経費としていこうということですね。
使用している間は、減価償却費という経費として処理します。
下の図のように、毎年少しずつに分けて経費にしていくことをイメージしてみてね!
ただし、金額が20万円以上30万円未満の場合は特例があります。
年間で合計300万円までなら、一括して経費にすることが可能です。
青色申告をしている方が対象で、減価償却するか一括で処理するか選ぶことができます。
青色申告とは、事前申請が必要になることと帳簿のつけ方が複雑になることの代わりに、より節税効果が高い確定申告の方法のことだよ。
耐用年数とは
資産が使用に耐えうる期間のことを耐用年数と言います。
簡単に言うと、使用することができる期間のことですね。
耐用年数の間、減価償却費を経費として処理することになります。
ここからがポイント!
一般に耐用年数と言うと、メーカーが製品ごとに定めた効果が持続する年数のことを表していることがほとんどです。
塗り替えの時期の目安として公表されているものですね。(期待耐用年数)
しかし、確定申告で減価償却費の計算に使うのはこのメーカーの定めた耐用年数ではなく、「法定耐用年数」のことになります。
また難しい言葉がでてきた。ややこしいわ~
法定耐用年数とは
当たり前のことだけど、いつまで使うかって使い終わった後にしかわからないわよね?でも経費として処理するのは使っている間よね。どうしたらいいの?
そうだね。毎回使用した期間を記録しておくのも面倒だし、人によって使う期間が違うのも公平じゃないよね。そこで、耐用年数は法律で決められているんだ。
税金というお金に関することですから公平を期すために、確定申告では実際の使用年数に関係なく、法律で定められた耐用年数を使います。
これが法定耐用年数です。
法律ではあらゆる資産の法定耐用年数が決められています。
資産 | 用途 | 耐用年数 |
建物(木造) | 店舗用、住居用 | 22年 |
飲食店用 | 20年 | |
建物(鉄筋コンクリート) | 住居用 | 47年 |
自動車 | 一般用 | 6年 |
事務机、いす | 金属製 | 15年 |
テレビ | 5年 | |
柿の木 | 36年 |
鉄筋造りの建物って約半世紀も利用できるものなのね。すごいわ~
柿の木も木造の建物より寿命が長いのね。やっぱり木は偉大だわ!
こうやってあらゆるものの耐用年数が一つ一つ細かく法律で決められているんだよ。同じ建物でも用途によって耐用年数が変わってくるのも面白いよね。
塗料の法定耐用年数?
上の表には見当たらないけど、塗料の法定耐用年数は何年なの?
そうだよね。そこを知りたいよね?ただ、残念ながら法律には定められていないんだよ。
えー!一番肝心なところなのに!
実は塗料の耐用年数は、法律で決まっていません。
ではどうするかというと、外壁塗装の減価償却の計算には、塗装を行った建物の法定耐用年数を使用します。
あっくん、質問なんだけど、外壁塗装をするのって家を建ててから10年目くらいよね?木造の建物だったら耐用年数がもう半分くらい経ってると思うんだけど、減価償却は何年間でするの?
それでも、例えば木造住宅だったら法定耐用年数の22年間で減価償却するよ。築年数を差し引いて、12年で計算しないように気をつけてね。
耐用年数は大切なポイントなので、まとめておきますね。
一般に使われている耐用年数の意味
→期待耐用年数。塗料の効果が持続する期間をメーカーが定めたもの
税務上の耐用年数の意味
→法定耐用年数のこと。外装塗料の減価償却計算では、塗装を行った建物の法定耐用年数を使う
減価償却費の計算方法
減価償却と耐用年数の意味がわかったところで、いよいよ一年間の減価償却費を計算してみよう!
減価償却率にはいくつかの計算方法がありますが、建物の減価償却計算においては個人事業主は定額法で行うと決まっています。
定額法では、毎年同じ金額を減価償却費として処理します。
計算方法を変更したい場合には、税務署への届け出が必要です。
定額法では、このように計算することができます。
外装塗装費用×償却率=一年間の減価償却費
償却率は、減価償却資産の償却率表で調べるよ。表の左側、耐用年数の項目の隣が定額法の償却率だね。
例えば、300万円の車について考えてみます。
車の法定耐用年数は6年ですから、表によると償却率は0.167となります。
一年間の減価償却費は、300×0.167=50.1万円と計算することができますね。
まさかタイミングよくすべてのものを1月1日に買うわけじゃないわよね?年度の途中で購入した場合はどうなるのかしら?
良い質問だね。その場合、使用した月の分だけを減価償却費用とするよ。
まず一年間の減価償却費を12ヶ月で割って一ヶ月分の減価償却費を出します。
これに使用した月数をかければ、使った分の減価償却費を計算することができますね。
例えば、先ほどの車を今年度の6月に車を購入し半年間使用したとします。
すると、50.1×6/12=25.05と計算することができます。
やっと計算できたわ!長かったわね~
長かったね。お疲れ様でした!
外壁塗装を減価償却費で確定申告するメリット
毎年経費として計上できることで節税効果があります。
利益に対してかかる税金が所得税だよ。売上-経費=利益なので、経費が増えれば利益は減る。所得税の節税対策になるね。
利益の少ない年は翌年に繰り越すなど、柔軟な対応をとることができます。
利益が出ていないと融資を断られることがあるから、融資を受けたい人にとってはメリットが大きいね。
外壁塗装費用を確定申告しよう!
外壁塗装をした時に経費として落とせることはわかったわ。じゃあ、実際に確定申告の時にはどうしたら良いの?
そうだね。ここからは、確定申告に必要な書類とその書き方について説明するね。
確定申告をする時に必要な書類
個人事業主の方が、確定申告をする時に必要な書類は、こちらです。
- 確定申告書B
- 収支内訳書(白色申告の方)または青色申告決算書(青色申告の方)
これらの書類に加えて、2016年度からマイナンバーカードの写しも必要になったよ。忘れずにね。
確定申告書Bには、利益と税金に関する項目を記載します。
確定申告書Aは給与所得者の方が使用しますので、個人事業主の方は確定申告書Bを使用して下さい。
収支内訳書と青色申告決算書は、売上・仕入れ・経費などの経営に関するお金の動きをまとめたものです。
減価償却費は1枚目に合計金額を、2枚目3枚目に資産ごとに減価償却の計算過程を記載します。
難しすぎて、頭パンクしそう!やっぱり確定申告なんて無理かも。
母さん、落ち着いて!これから一つずつの項目について説明していくから安心してね。
確定申告に必要な書類の書き方
白色申告と青色申告とで提出する書類は異なりますが、減価償却について記載しなければいけない項目は同じです。
ここでは、代表して白色申告の収支内訳書について解説していきますね。
記入が必要なのは、以下の15項目です。
- 名称
- 数量、面積
- 取得年月
- 取得金額
- 償却の基礎となる金額
→平成19年4月以降取得の場合は、取得金額と同じ - 償却方法
→外壁塗装では定額法 - 耐用年数
- 償却率(減価償却資産の償却率表より)
- 本年度中の償却期間
→工事終了から何ヶ月経過したか。例えば7月に終了して半年経っていれば6、工事が前年度以前なら12と記入する。 - 本年度分の普通償却費
- 特別償却費
対象となる設備を青色申告者が購入した場合のみ。白色申告では不要。 - 本年度分の償却費合計 (⑩+⑪)
- 事業専有割合
- 本年分の必要経費算入額 (⑫×⑬)
- 未償却残高
うわ!こんなに?母さん、頭痛がしてきたわ。
そうなんだよね。項目の数を見ると多く感じるよね。でも、よく見てみて!今まで話してきた内容で10個目の項目までは既に記入できるよ。
本年度分の普通償却費っていうのが、今まで計算してきた減価償却費のことだよ。
ほんとだわ!
これから、まだ説明していない事業専有割合と未償却残高について説明していくね。
事業専有割合とは、建物のうち事業に使用している部分の割合のことです。
自営業の方は、店舗と住居スペースが一つの建物であることが多いと思います。
しかし、経費としては事業に使用している分だけしか処理することができません。
完全事業用なら100、半分を住宅などに利用している場合は50となります。
未償却残高は、外壁塗装費用のうち本年度が終了した時点でまだ減価償却せずに残っている金額のことです。
この金額は来年度以降に減価償却していくことになります。
未償却残高=外壁塗装費用-今年度の減価償却費
(工事を前年度以前にした場合は、前年度の未償却残高-今年度の減価償却費)
さあ、必要な書類の記入が終わったら、後は提出するだけだよ。
どうやって確定申告するの?
確定申告は、3つの方法ですることができます。
- 必要書類を税務署に提出する。
- 必要書類を税務署に郵送する。
- 電子申告する。(e-Tax)
一番大切なことは、確定申告期間に提出をすることだよ。
確定申告期間は、原則2月16日から3月15日です。
期限を守って確定申告して、節税しちゃいましょう!
こんな方にもおすすめ!外壁塗装の確定申告
今までは個人事業主の方の確定申告を中心に話をしてきました。
しかし、普段は会社で年末調整を行っている会社員の方の中にも、外壁塗装をした時に確定申告をすると得をする方がいるんです。
お得な話ね!待ってました!あっくん早く教えて~
母さんは本当にお得な話が好きだよね。
こんな方は外壁塗装の確定申告をしないと損!
外壁塗装をした時に確定申告をした方がお得になるのは、ローンを使って外壁塗装工事を行った方です。
条件を満たせば、住宅ローン減税を受けることができます。
住宅ローン減税は、ローンの年末残高の1%にあたる所得税が最大40万円まで減税される制度です。
しかも、一度適用されれば10年間減税されます。
10年間も減税してもらえるなんて、すごいわね!一番はじめは面倒だけど、これは確定申告しておかないと損だわ。
そうだよね。じゃあ、減税を受けられる条件を詳しくみてみるね。
外壁塗装で住宅ローン減税を受けられるのはこんな人!
外壁塗装で住宅ローン減税を受ることができるのは、以下の条件をすべて満たした場合です。
- 自分が住むための自己所有の家であること
- 実際に居住していること
- 建築基準法に従っていること
- 工事費用が100万円を越え、費用の半分以上が住居に使われていること
- 10年以上のローンを組んでいること
- 年間所得が3000万円以下であること
- 登記簿上の床面積が50㎡以上であり、その半分以上が住居用であること
結構たくさんの条件を満たしていないといけないのね。
税金に関することだから条件はたくさんあるよね。でも一つ一つを見てみると、そんなに厳しい条件ではないと思うよ。
住宅ローン減税を申請する人が確定申告に必要な書類
住宅ローン減税を受けたい時に、確定申告に必要なのは、以下の書類です。
- 増改築工事証明書
→塗装業者が作成します。工事の前に必ず作成を依頼しておきましょう。 - 請負契約書(工事日、費用、床面積が記載されていること)
- ローン年末残高の証明証
- 源泉徴収表(給与所得者)
- 贈与や補助金を証明する書類(利用した場合)
- 住宅ローン減税の計算明細書
- 確定申告書
上から2つの難しい書類は、工事してもらった会社にお任せでいいんだよ。必ず工事の前に書類が必要なことを業者の人に伝えてね。
あら、それは助かるわね!
住宅ローン減税の計算明細書と確定申告書は、税務署のホームページからダウンロードして事前にゆっくり記入しておけば当日スムーズに確定申告できるよ。
外壁塗装を経費で落とす!耐用年数と確定申告の基本まとめ
経営とは切り離すことができませんが、やはり確定申告に関することは難しいですね。
わかりやすいように、全体をまとめてみましょう。
1.外壁塗装費用は、修繕費または資産的支出として処理する。
資産的支出とは、建物の価値を高める支出のこと。減価償却する。
2.減価償却とは、費用を耐用年数に分けて処理すること。
期待耐用年数
→塗料の効果が持続するとメーカーが定めた年数。
税務上の耐用年数
→法定耐用年数のこと。塗料では塗装を行った建物の法定耐用年数を使う。
さらに、住宅ローン減税が適用されるような場合には、会社員の方でも確定申告を行った方がお得です。
面倒で難しいと思われがちな確定申告ですが、一つずつ準備をしていけば大丈夫です。
必要な書類を揃えて、期限を守って確定申告しましょう。節税、減税することができますよ!
耐用年数については、こちらの記事でも詳しく知ることができます!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
コメント