屋根はいつも風雨に晒されながら、家を守ってくれています。
もし屋根に不具合があると、たちまち家全体が傷んでしまう原因なってしまうので、屋根の点検や修理は必要不可欠です。
でも、リフォーム業者に屋根の修理や塗装を依頼した時、専門的なこともわかりません。
高所での作業を見守るわけにもいかないので、業者にまかせっきりになってしまいがちですよね。
また、屋根が傷んでいると言われるとあわてて工事をしなければならないと不安になってしまう工事でもあります。
そんな屋根の修理や塗装はトラブルに陥りがちなリフォーム工事の一つです。
それでは、どのようなトラブルや失敗事例があるのか紹介します。
実は業者選びが難しい!?屋根修理の実態
国民生活センターの消費生活相談に2015~2019年に寄せられたリフォームに関する相談6万9613件中、屋根工事の相談が1万6521件あり、実に23.7パーセントを占めています。
様々あるリフォーム工事に対する相談件数の中で約4分の1が屋根工事に関するものということです。
それだけトラブルになりやすいリフォームであるということが言えますね。
家の構造の中で非常に重要な役割をする屋根ですが、重要である分専門的な知識や技術が必要になります。
リフォームを依頼する側が知識がない分だまされやすいこともあります。
でも、請け負う側も屋根に関する特別な知識や技術がなく、だますつもりがなくてもトラブルに至ることも多いようです。
屋根に不具合があったらどうなるの?
屋根を直接近くで見る機会がほとんどありません。
天井からの雨漏りなどの特別な不具合でもなければ屋根リフォームの重要性は感じにくいですよね。
でも屋根は直接雨にさらされ、建物全体が水を避けるためにとても重要な役割を担っています。
雨漏りは必ず目に見える形で影響が出るわけではありません。
見えない部分で雨漏りなどが起こって気づかないでそのままにしておくと……
家の構造部材が湿ってしまい、腐ったりシロアリの被害を招くなど家全体の寿命を縮めてしまうのです。
でも、見えない部分での雨漏りなんてどうやって見つけるの?
屋根リフォームのトラブル事例
では実際屋根を修理・塗装するにあたってどのようなトラブルが起こるのでしょうか?
工事自体の不具合ではなく、工事に付随する部分でのトラブルを3例ご紹介します。
屋根リフォーム見積もり金額トラブル
見積もりはリフォームを検討する材料としてとても重要な役割を持っています。
ところが、見積もりを取った時点の金額と、実際工事が終わってから請求された金額が異なるというトラブルが発生する場合があるようです。
そんな場合は見積もり金額から変更になるんじゃないの?
もしも追加で工事が必要であれば、わかった時点で丁寧に説明して施主の了承を取る必要があるね。
屋根の上で工事を見ることも難しいから、不当に請求してくる場合があるんだ。
また、見積もり通りの金額なのに使用する塗料を安価なものに勝手に変更することで、不当な利益を得ようとする業者もいるようです。
こういったトラブル防止のためにも見積もりだからといって口頭で済ませず、必ず書面にしてもらうようにしましょう。
屋根リフォームの訪問業者トラブル
「無料屋根診断」という名目で突然訪問し、点検後に屋根リフォーム工事を勧める訪問業者でもトラブルが発生します。
悪質な業者は、不安をあおって契約をせまったり、と契約を急がせるような場合が多いようです。
「急いで屋根の修理を行わないと大変なことになる」
「今契約してくれたら安く修理できる」
屋根に修理が必要と言われると焦ってしまう気持ちを利用しているのです。
突然のリフォーム工事提案に関しては即決は避けて一旦保留にして、他の会社にも見積もりを取ってから判断しましょう。
値引きすると言われていたのに、同じ工事でも他社の見積もりの方が安いなんてこともあります。
そもそもの設定金額を高く設定しているところからの値引きになっているのです。
とにかくこちらを慌てさせる業者が優良業者とは思えないので、そのようなそぶりを見せるようであれば、まずは疑ってかかりましょう。
火災保険を利用した屋根修理のトラブル
「火災保険を使って屋根の修理ができますよ」
このようなことを言われたら注意が必要です。
実は、火災保険を使ったリフォームのトラブルは、とても多く、年々増加しているのです。
たしかに、屋根の修理で火災保険が適用できる場合もあります。
しかし、それには条件があり、契約した後で火災保険が使えないと言われ、解約手数料を請求されたという事例もあるのです。
他にも、保険金を使えば無料で修理できますよ。と言われたのに、結局、工事費用が保険金を上回り、自己負担しなければならなかった。
リフォーム会社から嘘の理由で火災保険を使いましょうと提案され、それがバレて保険が降りなかったり・・・
嘘の理由による保険金の請求は詐欺になりますので、絶対にやめましょう。
屋根リフォームのご近所トラブル
屋根の修理や塗装では、このような問題が起こることがあります。
屋根の洗浄時に汚れた水が飛び散る
塗料がお隣を汚す
屋根材をトラックへ投げ入れる騒音
リフォーム業者は施主宅の外構部分や車などには、汚れを防止する養生などを行います。
でも、もし建物が隣地に接するように建っているなら、汚れが飛散する可能性は施主宅もお隣さんもそう変わらないですよね。
トラブルを未然に防ぐためにも、足場に飛散防止のためのメッシュシートを必ず設置してもらいましょう。
風が強く飛散範囲が広くなりそうな場合は作業を控えるなどの判断も必要になります。
あと挨拶も業者に任せず、自分でも行っておくといいね。
屋根リフォームの失敗事例
実際屋根を修理・塗装してから、工事箇所に不具合が出てしまった失敗例はどのようなものがあるのでしょうか。
業者側の不備で起こった不具合も含めて、失敗例として4例ご紹介します。
塗料がはがれた
引用:情熱リノベーション
塗装前の洗浄やケレンといった下処理がきちんと済んでいないまま新しい塗装を行うと、耐用年数より早く塗装がはがれてくる場合があります。
このような不具合は塗装してからすぐに発生するものではありません。
時間が経ってから初めてわかることが多いため、「耐用年数はあくまでも目安に過ぎない」と言い逃れされる可能性もあります。
施主が屋根に上がって工事を監視、監督することは難しいので、こまめに施工中の写真撮影をしてもらい報告してもらうようにしましょう。
カバー工法の失敗
屋根のリフォームでよく使用されるカバー工法にも失敗事例があります。
カバー工法は、重ね葺きとも言われ、簡単に言うと既存の屋根の上に新しい屋根を被せるリフォームです。
- 低品質の防水シートが使われた
- 野地板が傷んでいるまま工事された
- 低勾配の屋根の工事
- 風が強い地域での工事
カバー工法を行うには、下地が劣化していない状態でなければなりません。
ですが、野地板(屋根の下地)が傷んだままだったり、質のよくない防水シートを使って工事を行うとトラブルの原因になります。
また、カバー工法はおもに金属屋根が使われますが、横葺きの金属屋根は2.5寸以下の屋根に貼ることができません。
緩勾配(斜面が緩やかなこと)の屋根の場合、雨漏りの原因になってしまいます。
風の強い地域も注意が必要です。例えば、高台や周辺に風を遮るものがないなど。
特に横葺きの金属屋根は、1枚でも剥がれてしまうと屋根を全部貼り直さなければないことも・・・
金属屋根(ガルバリウム)のリフォームについては、こちらの記事を読んでみて下さいね。
雨漏りした
引用:霧島工務店
せっかく屋根を修理したのに雨漏りがしてきた、なんてトラブルもあります。
屋根の塗装や修理が原因であれば、屋根の葺き替え工事中に防水シートや下ぶき材を破損させてしまっていることも。
他にも、屋根材塗装の際に縁切りという屋根材と屋根材の間の隙間をふさいでいる塗料を取り除く工程を行っていない、などの原因が考えられます。
しかし塗装工事の場合は、雨漏りの原因が屋根の塗装工事であると断定するのは難しい場合があります。
屋根材自体の経年劣化で、塗装工事前からの屋根材のひび割れやズレがあったことが原因の可能性もあります。
屋根修理・塗装後から間もなく発生した雨漏りであれば、リフォーム業者に修繕や雨漏り原因の特定などを依頼しましょう。
屋根からの雨漏りの調査方法と対策はこちらの記事をご覧ください。
イメージ通りにならなかった
屋根の塗装を行う時に塗料の色を決定したものの、実際の仕上がりを見てみるとイメージした通りにならない場合があります。
塗装は色見本のように狭い範囲を塗ったものを見た時と、屋根のような広い範囲を塗ったものを見た時の印象は異なることが多いです。
また、太陽光の当たり具合でもずいぶん違って見えるものです。
太陽光の熱ができるだけ影響しにくいように、暗い色を塗る時は直接その色を塗るのではなく、別の色を塗り重ねることで暗い色を表現するなどの技法が使われる場合もあります。
そのため、想像していた色とは違うと感じることもあります。
気に入らないからと簡単に塗り替えることができない屋根の塗装。
色見本で決めてしまわずに、広い範囲への試し塗りをしてみたり、施工された実例があるなら一度見に行ってから決めた方がいいでしょう。
トラブルや失敗が発生したらどうすればいいの?
リフォーム工事には、瑕疵担保責任というものがあります。
瑕疵担保責任とは、工事後に業者がリフォームを行った箇所に負う責任のことで、法律で規定されています。
もし工事箇所に不具合があった場合、これに基づいて施主から業者に修繕や損害賠償を求めることができます。
でも、期限が定められており、1年以内もしくは特約でこれよりも短縮されている場合もあります。
不具合がわかったら、できるだけ早く業者と話し合いを始めましょう。
また、業者によっては瑕疵担保責任保険に登録されている場合があり、瑕疵担保責任保険の場合は期間が延長されるので必ず確認しましょう。
でも、瑕疵担保責任保険に登録するには一定条件をクリアする必要があるから、業者選びの基準にもなるよ。
屋根修理・塗装のトラブルや失敗事例8選まとめ
今回のまとめは、このようになります。
- 見積もり金額のトラブル
- 訪問営業のトラブル
- 火災保険を利用した修理のトラブル
- ご近所トラブル
- 塗装がはがれた
- カバー工法の失敗
- 修理後の雨漏り
- イメージ通りにならなかった
屋根修理・塗装の重要性や、重要だからこそトラブルや失敗も重大になってしまうことを事例も含めてご紹介しました。
すべてのリフォームについて言えることですが、見積もりや契約は必ず書面として残すようにしましょう。
口頭での確認や口約束では言った言わないの争いになり、もしもの不具合の時に困ることになってしまいます。
また、疑問に思うことは必ず質問しましょう。
わからないままにしないことで業者側にも緊張感が生まれて、結果的にリフォーム自体の成功につながります。
屋根に不具合があると、家全体に影響してしまいますよね。
屋根の修理や塗装のトラブルをなくすためには、信頼できる業者にリフォームを依頼することが大事です!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
[nurikae-yanezai]
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